2010 Fiscal Year Annual Research Report
販売職に就く人たちの準拠集団・就労意識・技能意識:対照的な集団間の比較分析
Project/Area Number |
21730431
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
福冨 言 京都産業大学, 経営学部, 准教授 (80387993)
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Keywords | 販売員管理 / サービス / 社会学 / 雇用 / キャリア・デザイン / 小売業 |
Research Abstract |
本年度には対照的な2集団の販売員たちに対して質問票調査をおこなった。ここでいう対照的な集団とは、勤務地(首都圏と関西圏)、勤務先(メーカーと百貨店)、安定性などにおいて対照的なプロフィールの販売員たちのことである。126サンプルについて分析し、以下のとおり結論を得た。 販売員管理の諸要素について、販売員たちの準拠集団の存在は、先行研究において取り上げられる変数と十分に比較可能なレベルで影響力を有する。より詳しくいうと、販売員の離職・勤続意図やパフォーマンス(ロイヤルティ、サービス水準、同僚との関係構築など)を被説明変数とし、準拠集団の種類、規模、組織内の存在を本研究独自の説明変数とし、内発的動機、報酬制度、職務・役割の定義などといった先行研究のレビューに基づく説明変数との影響力を比較した。パス解析の結果として、内発的動機づけはサンプル企業にとって概ね様々に有益な成果をもたらすことを確認し、特定の被説明変数に対して影響をおよぼす説明変数を識別した。たとえば、販売員の離職意図に対しては、職務遂行上のジレンマ、内発的動機、将来の自分自身をイメージできる人物が組織内に存在するか、年齢の近い家族との対話機会、以上の変数が影響をおよぼしている。 本研究の意義について。販売員の管理方法については状況や環境に応じて様々にアドホックな説明をせざるをえず、本来普遍的な理解をすることは難しいが、準拠集団の存在が販売員たちのまさにこうした状況や環境の解釈に影響している可能性がある。また、実務的に、個人の先天的性質や組織の制度的要因のコントロールは極めて困難であることに対して、準拠集団の存在についての社内広報など、コントロール可能なインプリケーションを導き出すことができた。
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Research Products
(3 results)