2011 Fiscal Year Annual Research Report
デュアル・キャリア社会の条件としての「柔軟な結婚」についての実証研究
Project/Area Number |
21730433
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
筒井 淳也 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (90321025)
|
Keywords | 家族 / 親族 / 人口 / ワーク・ライフ・バランス |
Research Abstract |
「平成23年度交付申請書」に記した研究実施計画では、(1)「ミクロな家庭内性別分業についての分析の結果の報告」、および(2)「マクロレベルでの「男性稼ぎ手モデル」社会の比較社会論的分析の報告」を実施する予定であった。上記2つについて、予定通り実施することができた。(1)は家族社会学会での報告、(2)は国際社会学会での報告および立命館大学での国際シンポジウムでの報告(いずれも英語)である。以下、(3)その他関連成果を含めて、それぞれについて得られた主な発見を詳述する。 成果(1)では、デュアルキャリア夫婦を可能にする基盤である公平な家事分担について、それが遅々として進まない要因を、クロスセクションデータ(NFRJ08データ)にマルチレベル分析を適用するという新たな試みによって明らかにした。主な結果として、スキルを要する家事、日常的な時間を要する家事(食事準備など)については、それ以外の家事よりも分担が進んでいないことが示唆された。 成果(2)国際社会学会での報告では、ワーク・ライフ・バランスに関する国際比較分析を行い、働き方の柔軟性が性別、雇用セクター、職種によって異なっていることを明らかにした。特に、専門職による働き方の自由度が性別によって異なるという結果が導かれたことは、大きな発見であった。この成果は、2012年度中に東京大学社会科学研究所の学術ジャーナルに掲載される予定である。立命館大学での国際シンポジウムでの報告では、より広い視野から、東アジア諸国においていかにして「男性稼ぎ手モデル」が経済や社会の停滞をもたらしうるかを指摘した。この成果は、2012年度中に立命館大学人文科学研究所の紀要に掲載される予定である。 なお、上記(1)は日本国内のデータを利用した分析であったが、国際比較データを利用した分析を2012年5月のアメリカ人口学会で報告予定である(受理済)。
|