2009 Fiscal Year Annual Research Report
里親制度研究―近未来の日本における家族概念の提唱とその展望
Project/Area Number |
21730437
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Research Institution | Kwassui Women's College |
Principal Investigator |
園井 ゆり Kwassui Women's College, 文学部・人間関係学科, 准教授 (40380646)
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Keywords | 里親制度 / 養育家族 / 社会的養護 |
Research Abstract |
本研究の目的は、里親制度の発展に向けた効果的な方策を、(1)「社会意識的要因」と(2)「制度的要因」の2つの視点から分析したうえで、最終的には、里親家族という家族形態から近未来の日本における家族概念として「養育家族(famiy of fosterage)」という視座を展望することである。本研究の課題は、札幌市及び九州・沖縄における「養育里親」を中心とした、聞き取り調査に基づき実施する。 本年度は、(1)「社会意識的要因」に対する分析を行った。調査結果(対象世帯数43、12月時)から、まず里親である者の属性についてみると、里親は50代を中心とし、6割は実子がいる。核家族世帯が一般的であり、里母は、7割が専業主婦、里父は、4人に1人が定年退職者である。実子の有無別に里親になった動機をみると、実子がいる里親の場合は、「子どもを育てたいから」が最も多い。実子がいない里親の場合は「養子を得たい」が最も多い理由となっている。また8割が周囲へ公表(里親であること、里子であること)していた。 次に、社会意識的要因について。本調査の結果からは、里親はa.親子関係における血のつながりに対する拘りが低く、b.子育てに対する負担感が少ない傾向にあることが伺われた。血のつながりに対しては、例えば18歳の措置解除後も里親子の関係を続ける里親家族が見受けられること、子育てに対しては、里親家族では、里子の養育には、里親の実子や親戚、近隣、また他の里親が関わることで子育てに対する負担感が軽減される傾向にあることが伺われた。c.宗教的信仰については、本調査の結果に限ると、宗教と里親活動との関連は必ずしも強いとはいえない。d.里親の動機が持続する背景については、里子の養育に対してやり甲斐や生き甲斐を感じていることが、血縁にない児童の養育を継続して行う原動力になっているのではないかということが推察された。
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Research Products
(10 results)