2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730439
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
林 雅秀 独立行政法人森林総合研究所, 東北支所, 主任研究員 (30353816)
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Keywords | 森林利用 / ネットワーク |
Research Abstract |
(1)岩手県北地方の昭和初期の漆器生産と社会関係に関する資料の解読を進めた。この資料は、経済史家の土屋喬雄が同地域のS家について有賀喜左衛門らと共同で調査した際の調査ノートである。S家の大家族制度については有賀によって重厚なモノグラフが著されているものの、有賀のモノグラフではS家の生産に関する事柄には触れられていない。そのため、本資料の解読により、大屋、別家および名子によって構成される大家族制度の典型とされた地域において、漆器生産などの山村に特有の生産活動が果たしていた役割が明らかになりつつある。 (2)昨年度までに実施した生漆生産者ならびに漆木植栽農家を対象とした調査に基づいて、生漆生産者や漆木植栽農家の行動と彼らのネットワークとの関連を分析した。この分析を通じて,戦後,日本中の生漆産地が生産を中止したり,生産量を大きく減少させていった中で,岩手県北地方において生漆生産が持続的に行われてきた条件を検討した。昭和初期から現在までを通観すると、漆木が多く植栽される地域は時期によって変化していったと考えられ、そうした変化には自治体独自の政策の影響や中心的な人物がもつネットワークの影響があったと考えられる。 (3)昨年度までに実施した生漆生産者を対象とした調査データに基づいて,生漆に関する情報のあり方の変化が,生漆生産者と生漆購入者との関係変化をもたらすことに関して,ゲーム理論的な検討を行った。これまでのところ、生漆の認証制度の創設やインターネットなどによる生漆の価格や品質についての情報流通のあり方が変化したことが、生漆生産者の行動を変化させた可能性があると考えられる。
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Research Products
(8 results)