2009 Fiscal Year Annual Research Report
育児の社会化と女性の労働:市場と公共領域における育児支援サービスの比較研究
Project/Area Number |
21730440
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
酒井 千絵 Kansai University, 社会学部, 助教 (30510680)
|
Keywords | ジェンダー・世代 / 育児支援 / 育児支援 / NPO / 生活史 |
Research Abstract |
平成21年度に実施した研究は、以下のとおりである。(1) 妊娠・育児期の女性が抱える悩みや困難に関する文献調査を行うとともに、平成20年度に兵庫県で行った産婦に対する意識調査を分析して、出産前後や育児に対する母親の不安や葛藤を明らかにした。これらの分析から、現代日本では、母親(女性)自身が育児において主な役割を担うべきだと考えていること、出産・乳幼児育児期の女性が育児の方法だけでなく、周囲との関係性が変化することに対して不安を感じていること、望まない妊娠など、妊娠時に葛藤が大きいほど、その後の不安が大きくなり、自己肯定感も低下すること、などが分かった。(2) 自治体が実施の窓口となる育児支援サービスの内容を調査した。これらの育児支援サービスは、主に育児期に孤立しがちな母親に対する仲間作り、サークル活動開始のきっかけという目的から行われている。そのため支援の時間は平日の日中が大半であり、就業中の母親や父親が参加したり、サービスを受けたりすることは難しく、結果として参加者の多くがいわゆる「専業主婦」に偏っている。また、現状の育児支援では、主に育児を担う「専業主婦」と、居宅外で就労する「働く母親」を区分する側面があった。(3) 平成21年度には、自治体やNPOで実際に活動する育児支援者や団体に対するインタビューや参与観察を開始したが、まだ十分な研究結果をあげるには至っていない。これは、育児支援サービスの受け手である育児期の母親に対する調査と合わせ、平成22年度以降の課題として、引き続き調査を進めていく予定である。
|
Research Products
(1 results)