2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730444
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Research Institution | Konan Women's University |
Principal Investigator |
高橋 真央 甲南女子大学, 文学部, 講師 (50401609)
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Keywords | ボランティア / 市民社会 / NPO / NGO / 共生 / 国際協力 / 市民参加 |
Research Abstract |
本研究では、国際協力が日本の市民社会の中でいかに浸透し、その支援の輪が広がっていったのかについて、実態を調査し、分析研究を行ったものである。 国際協力に関しても様々な分野(平和構築、教育、保健等)に分かれ、自分たちの専門性を活かした活動もあれば、地域性や偶然の出会い等から活動に至った団体も多くあった。留学生や在日外国人のお世話などをしているうちに、途上国とのネットワークが構築され、継続的に支援活動に発展し、それをサポートする家族、友人などの輪が広がり、組織化されていったと話すインフォーマントも多くあった。 多くのインフォーマントは、NPO等の組織化を意図しておらず、ただ「隣人を助けたい」という思いから出た活動であると話していた。そこには、日常生活での「気づき」やちょっとした「助け合い」から端を発したものが少なくなかったようである。 多くの団体が無償での活動であるが、「思い」によって確立された活動であり、途上国の人々とのネットワークだけではなく、課題解決のためにつながった他の国の人々とのネットワークも構築されていることが分かった。また、生活や仕事に支障のない範囲であるため、小規模であるが、10年20年という継続的な活動を行っており、地域の人々や自治体にも信頼を置かれ、途上国だけではなく、地域貢献にも一役買っている団体もあった。途上国の課題解決を支援しているうちに、日本の身近な課題を見落としていた事実に気付くと共に、その課題解決にもまた奔走している人々がおり、途上国、日本という問題ではなく、地球上の「市民社会の形成(共生社会)の確立のために邁進している姿が調査中に見受けることができた。東日本大震災以後、日本社会の舵取りを市民一人一人がボランタリーな精神で築きあげて行くことが求められ、それに力を注ぐ基盤が確かに根づき始めていることが分かった。
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