2011 Fiscal Year Annual Research Report
障害者自立支援法施行による中途障害の意味の変容プロセス-ライフコースの視点から
Project/Area Number |
21730456
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
田垣 正晋 大阪府立大学, 人間社会学部, 准教授 (30347512)
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Keywords | 障害者 / 障害者自立支援法 / ライフコース / 質的研究 / ライフストーリー |
Research Abstract |
本研究の目的は、障害者自立支援法(以下、自立支援法)施行による中途障害者の障害の意味づけの変容プロセスを、ライフコースの視点から明らかにすることである。申請者が平成14年にインタビューした脊髄損傷者に追跡調査をし、質的研究として進める。追跡調査をおこなう理由は,自立支援法の施行という制度の影響をフォーカスするには、制度導入前と導入後といった縦断的研究が適切と判断するためである。 本年度は,10人の男性脊髄損傷者に対する半構造化面接を実施した。脊髄損傷の疫学的データに基づき、10代後半から20代後半に受障した者で,今回の調査時点で,受障から平均18.4年が経過,平均年齢40.6歳だった。前回の面接から,約10年間が立っていることから,今回の面接では,10年間の生活の流れ,前回,協力者が意味づけの揺らぎを語った経験,障害者福祉サービスの利用状況と見解を尋ねた。面接は1人あたり,90分程度だった。インタビューを全て逐語記録にして,1人ずつKJ法を行った。分析には,Atlas,ti等の質的データ分析ソフトを用いた。 昨年度に引き続いて、データの分析のために、障害者のライフコースに関する理論の整理、既存データの再分析をおこなった。障害者の心理社会的研究に関する最新の研究成果、米英の障害学に関する原著、我が国の障害者福祉の文化的特徴に関する外国文献を読み進めて、広い意味での文化的特性に関する知見を深めるように努めた。また,自らが関与する市町村の障害者施策に関する審議会において,障害者自立支援法,相談事業に関する討論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データ収集と分析が一通り終了したことと,障害者のライフコース,質的研究に関する文献を読み進めていることは,今年度の成果といえる。ただし,10名それぞれの分析結果を統合し,カテゴリーの連関を表すことはできなかったし,これまでの既存データの論文が採択されていないので,今後の課題としたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後,10名それぞれの分析結果を統合し,カテゴリーの連関を表し,関連学会に投稿したい。また,引き続き,これまでの既存データの論文を海外の学術雑誌に投稿する。さらに,障害者のライフコースや質的研究関連の文献を読み進めたい。
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Research Products
(1 results)