2011 Fiscal Year Annual Research Report
ニュージーランドにおけるひとり親世帯への自立支援政策とその効果に関する調査研究
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21730460
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Research Institution | Tohoku University of Community Service and Science |
Principal Investigator |
武田 真理子 東北公益文科大学, 公益学部, 准教授 (80337245)
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Keywords | ニュージーランド / ひとり親世帯 / 自立支援 / 地域コミュニティ / 協働 / コミュニティ・リンク |
Research Abstract |
厚生労働省が「国民生活基礎調査」を基に算出した日本における相対的貧困率は2004年調査では14.9%、2007年調査では15.7%であり、子どもの貧困率は2004年調査では13.7%、2007年調査では14.2%と高い値を示した。中でも子どもがいる現役世帯の内、大人が一人の世帯の貧困率が2004年調査で58.7%、2007年調査で54.3%とOECD諸国の中で最も高い値であることが2009年11月に公表された。2006年の「全国母子家庭等調査」によると、ひとり親世帯の9割を占める母子世帯の母親の就労率は84.5%であり、勤労収入があるにもかかわらず、半数以上の世帯が最低限度の生活を維持できていないという実態が明らかにされている。このことは、日本における公的施策がひとり親世帯の自立を充足するのに十分な支援策と成り得ていないことを示しており、日本の社会保障制度の本質的な課題を表すものでもある。 本研究は以上の問題意識から、1938年社会保障法の制定以降、同国に居住する全ての人を対象とし、必要原則に基づき、同一ルールの下で税財源により最低生活を保障するという日本の社会保障制度と対照的な原則のしくみを運営・維持してきニュージーランドの社会保障制度における、ひとり親世帯への自立支援政策とその効果に関する分析を行った。ニュージーランドは1998年以降、より効果的な自立支援の実現を目指し、所得保障と職業紹介の部署を統合するWork and Income、複数の行政機関と地域コミュニティ内の民間団体・組織の連携・協働を推進するCommunity Link等の新しい社会保障制度を創設してきた。本調査研究ではこれらの政策動向を明らかにした上で、ひとり親世帯への官民の協働による長期的、総合的な視点に基づく自立支援の方法と内容、及びその効果の分析を行った。その結果、Community Linkはひとり親世帯のワン・ストップ・サービスとして機能し、地域自立生活支援という視点から有効であることが明らかになった。
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Research Products
(3 results)