2009 Fiscal Year Annual Research Report
EUの均等(差別禁止)法政策と人権保障の新たな展開に関する研究
Project/Area Number |
21730466
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Research Institution | Den-en Chofu University |
Principal Investigator |
引馬 知子 Den-en Chofu University, 人間福祉学部, 准教授 (00267311)
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Keywords | 社会福祉 / 社会政策 / 人権 / EU(欧州連合) / 多国籍 / 差別禁止(均等待遇保障) / 年齢・障害・人種(民族)・信条(宗教)・性別 / 国際条約 |
Research Abstract |
EUの均等(差別禁止)法政策と人権保障について文献調査を行い、「雇用均等一般枠組み指令」を含む中核的な2指令のほかに、これを支える重要な役割を担う法として「一括適用免除規則」および「公共調達指令」、「構造基金・欧州社会基金規則」について研究を深めた。これらの法を軸とした、実際のEUおよび加盟国における施策・実践プログラムについても把握を試みた。特に、一括適用免除規則や、同規則と社会的に排除された人々(均等待遇保障の対象となり得る人々)との関係性は、日本ではこれまで認知されていなかった。この規則を紹介し、均等待遇保障の関連を明らかにしたことは、研究初年度の成果のひとつであった。 文献研究の成果を踏まえて、欧州委員会の関連部局や欧州レベルのNGO、研究者への訪問調査を、特に「障害」の事由を中心に行った。調査により、EUによる初の人権条約批准となった、国連権利条約の2009年11月26日の批准(正式確認)の、EU内でのその後の手続き方法や状況を詳細に知ることができた。さらに、既存の指令等の加盟国における具体的な実施や、雇用・就労を超えた均等待遇指令案採択へ向けた進捗状況、EUのアクセサビリティへの取組みなどが一層明確となった。日本における研究者や関係研究会、NGOなどに、これらの最新の訪問結果を積極的に報告した。 一括適用免除規則の関連条項と合理的配慮にかかわる支援政策との関係性などは、現地のEU関係者でも明確に把握し切れていないことがわかった。これらの関係性などを明らかにすることは、日本の障害者権利条約批准とその実施をより実のあるものとするために重要な示唆を与えると考える。この点などについて、次年度さらに研究を進めていきたい。
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