2009 Fiscal Year Annual Research Report
児童自立支援施設における意見表明権と情報へのアクセス権の保障に関する実証的研究
Project/Area Number |
21730471
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
上村 千尋 Kinjo Gakuin University, 人間科学部, 准教授 (10369788)
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Keywords | 児童自立支援施設 / 意見表明権 / 情報へのアクセス権 / 児童への説明責任 / 自立支援計画 / 権利擁護 |
Research Abstract |
本研究は、児童自立支援施設における自立支援計画に基づいた処遇を行うにあたり、児童の「意見表明権(意思の尊重原則及び参加の権利を含む)」や「情報へのアクセス権」がどのように保障されているのかについて検討し、その処遇上の課題や援助技術の問題を入所児童の特性や実態を踏まえて明らかにすることを目的とする。平成21年度は研究開始年度であり、児童自立支援施設の処遇のあり方に関する先行研究の分析によって課題を整理し、質問紙作成の準備を進めた。併せて、施設運営や処遇に関する現状を把握する為に、中国地区や関東圏の複数の児童自立支援施設へ訪問し、施設長や職員へのヒアリングの実施や施設運営に関する資料の収集を行った。先行研究の結果、施設における権利擁護の取り組み、児童へ配布する「子どもの権利ノート」や「生活のしおり」の活用状況、施設生活や処遇に関する児童への説明の在り方について、自立支援のプロセスへの参加手続きにおける現状について把握することができた。また、処遇上の制限は施設の特性上必要ではあるが、その制限の条件について理論的および法的に整理し、児童や保護者、社会への説明責任に繋げていくことが必要であるとの見解を得ることができた。さらに、21年4月に施行された「改正児童福祉法」において、施設内処遇の在り方と子どもの権利擁護に向けての取り組みが法的に進むなかで、指導困難児童への処遇上の制限に関する考え方の整理や見直しを行う必要があるとの課題が挙げられた。 それらの見解や課題を踏まえつつ、次年度の研究においては、中国地区および他県の児童自立支援施設を訪問し、施設長および職員へのヒアリング調査を引き続き実施するとともに,調査協力が得られた施設には職員への質問紙調査を実施し、処遇や自立支援計画に対する「意見表明権」の保障の取り組みの現状、およびそれらを裏打ちする援助技術の実際について、実証的に把握していく。
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