2010 Fiscal Year Annual Research Report
児童自立支援施設における意見表明権と情報へのアクセス権の保障に関する実証的研究
Project/Area Number |
21730471
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
上村 千尋 金城学院大学, 人間科学部, 准教授 (10369788)
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Keywords | 児童自立支援施設 / 意見表明権 / 情報へのアクセス権 / 児童への説明責任 / 自立支援計画 / 権利擁護 |
Research Abstract |
平成22年度は,2011年2月~3月にかけて全国の児童自立支援施設(58施設)および児童養護施設(637施設)を対象に郵送によるアンケート調査を実施した。また複数の児童自立支援施設に訪問し,職員へのヒアリング調査を実施した。調査項目は,(1)権利擁護や意見表明権の保障,(2)児童の自己決定,(3)自立支援計画の作成・実施における児童への説明責任や情報開示,(4)苦情解決システム,(5)子どもの権利教育,(6)「子どもの権利ノート」の活用状況等についてである。有効回収率は,児童自立支援施設が59.0%(34施設),児童養護施設が27.5%(175施設)であった。 児童自立支援施設の現状に関するアンケートの一部とヒアリング調査の回答を分析した結果,施設により取り組みの差異が見受けられたが,共通しているものとして,意見表明権の保障および児童への説明責任の重要性についての施設の認識は高いことが伺えた。具体的方法として,「意見箱」の設置,自立支援計画の策定の際に児童の参画や計画の説明を行う,あるいはケース会議に児童が同席する等の取り組みが挙げられる。だが一方で,施設生活に対する児童のレディネス(準備性)への対応や児童の特性に応じた対応については課題があることが伺えた。とりわけ児童養護施設からの措置変更で入所してくる児童が増加している施設では,その課題が顕著であることが示唆された。また,指示理解度が低いあるいは言語表現の不得手な児童の意見表明権の保障のあり方や,特性や能力に合わせた方法で,関連している情報を児童に開示するという「情報開示と意見表明権の保障」の積み重ねの重要性が示唆された。 今後は,児童の特性に応じた処遇および意見表明権の保障の取り組みの現状を把握し,援助実践のあり方について検証していく。また施設での権利教育プログラムの実際についても実証的に把握していく。
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Research Products
(3 results)