2010 Fiscal Year Annual Research Report
認知症ケアの高度化に資する専門職養成プログラム開発―デンマークをモデルにして―
Project/Area Number |
21730473
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
汲田 千賀子 日本福祉大学, 福祉社会開発研究科・社会福祉専攻博士課程, 大学院生 (80387844)
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Keywords | 認知症ケア / 専門職 / プログラム / デンマーク |
Research Abstract |
本研究では認知症ケアの実践のなかでもデンマークの認知症コーディネーターに着目し、その職務の実態について研究してきた。まず、文献研究により認知症コーディネーターの職責や背景について深めた。認知症の方の権利は社会福祉法により規定されており、どんな状態になっても尊厳と権利が守られるようにしなければならないと記されており、その遵守のために認知症ケアの専門職は本人や家族と認知機能が保たれている間に様々な本人の意向を聞きなが支援している。 認知症コーディネーターは、在宅の認知症の方とその家族の支援だけではなく、在宅のホームヘルパーやケア付き高齢者住宅のスーパーバイズという役目を担っており、ケア現場で解決できないことが起こると駆け付けて対処している。 次に、在宅の認知症の方を対象をしている認知症コーディネーターとケア付き住宅を担当する両方のコーディネーターにヒアリング調査を実施した。昨今、認知症と診断される高齢者の数が急増しており、訪問面接の時間がなかなかとれなくなっている実態がある。そこで、認知症コーディネーターは、現場で直接ケアに当たるスタソフに対して教育を行っており、自己解決能力を高めることを支援している状況がうかがえた。一方で、認知症コーディネーターにとっても解決するのに困難な事例があった場合には、支援を求める機関(VISO)を国が設置しており、いつでも支援を求める体制の中で日々職務に当たっている実態が明らかになった。層をなして認知症ケアにとりくむ専門職体制が組まれているデンマークでは、認知症コーディネーターは、ご本人および家族、そして実践現場でケアをしている専門職の支援までを職務としている。このことは、どこで暮らしていても同じケアの質が担保されるような水準確保を可能にすることに寄与している。
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