2010 Fiscal Year Annual Research Report
小地域福祉推進基礎組織を中核とした小地域福祉システム構築の条件に関する研究
Project/Area Number |
21730475
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
永田 祐 同志社大学, 社会学部, 専任講師 (90339599)
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Keywords | 地域福祉計画 / 小地域福祉推進基礎組織 / 小地域福祉活動計画 |
Research Abstract |
本年度は、特に愛知県名古屋市、三重県名張市、宮崎県都城市、栃木県県日光市を中心に小地域における福祉課題解決の仕組みについて質的分析を行うとともに、栃木県及び三重県社会福祉協議会の協力により、小地域の基礎組織と課題解決の仕組みについて、定量的な調査を行うことができた。 小地域における基礎組織と課題解決の仕組みについては、昨年度から引き続いて、課題の発見から共有、解決、開発という分析枠組みを設定し、(1)住民参画の進め方、(2)具体的な活動の展開、(3)個別支援にかかわる専門職との関係、(4)相談支援事業との関係、(5)社協や行政との関係について、それぞれの地域におけるソーシャルワーカーへのインタビューを実施した。調査の結果、小地域におけるソーシャルワーカーの関わりや地域包括ケアシステムのデザインの違いなどが小地域での基礎組織や課題解決の仕組みに影響していること、しかしながら、発見した課題を共有し、解決していくことから新たな社会資源の開発につなげていくことが難しいこと(すなわち、個別支援で完結してしまっていること)、そうしたことを可能にしていくためには、個の問題を地域の問題として発想を個別支援ワーカーが持つことや、地域支援を行うワーカーが個別の問題にかかわっていくこと、が必要であることなどが示唆された。 また、定量調査からは、小地域の基礎組織があっても、そうした組織が形骸化しており、個別課題に対応した地域の資源となりえていないこと、平成の大合併後の基礎組織の圏域等の統一が難しいこと、社会福祉協議会のワーカーの地区担当制や小地域福祉活動計画の策定などが基礎組織の活動を活発にしていくうえで重要なこと、などが示唆された。
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