2010 Fiscal Year Annual Research Report
知的障害者の参加促進に向けた支援構造および技術の定式化:地域自立支援協議会の分析
Project/Area Number |
21730478
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Research Institution | Kansai University of International Studies |
Principal Investigator |
笠原 千絵 関西国際大学, 教育学部, 講師 (60434966)
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Keywords | 参加 / 協議 / 知的障害 / 障害者 / 当事者活動 / 自立支援協議会 / ローカルガバナンス / パートナーシップボード |
Research Abstract |
協議場面への知的障害者の参加を進めるため、2種類の調査を実施した。第1は自治体の自立支援協議会担当者へのインタビューである。協議会への障害者の参加状況や委員の選定方法について、主に以下の点が明らかとなった。(1)協議会への障害者の参加:行政の立場としては個人より団体代表、協議の活発化には単なる団体代表より個人であっても協議経験のある人が望ましい。障害者の参加促進への取組や選定方法は、市町村担当者の認識や熱意によるところもある。(2)知的障害者の参加:協議会そのものが抽象的なので説明が難しく、本人の経験や支援の不足から協議場面への直接参加は難しい。協議会の組織形態や「協議」そのものにとらわれず、当事者部会やサークル活動を通して話を聞く機会を柔軟に設ける工夫をしている。 第2はイギリスでの情報収集で、研究者、支援者、知的障害者へのインタビューである。主に自治体レベルで知的障害者政策を協議するパートナーシップボードへの当事者参加について、以下の点が明らかになった。(1)知的障害者のみのグループ:参加の負担を和らげ、発言や参加を促し、本会議等への事前準備ができる利点の一方、時間と費用がかかる、本会議に参加させない言い訳にされる、知的障害のない人と相互作用がないなど欠点もある。有効だがこれのみでは不十分といえる。(2)協議場面での支援方法:知的障害者が考えるよい会議の条件と具体的な工夫には、事前準備(議題の事前説明、適切な支援、分かりやすい情報)、場所と日時(開始/終了時間、アクセス、情報をはる壁の確保)、会議進行(時間配分と休憩、小グループ、進め方のルール)、資料作成方法などがある。 協議場面への知的障害者の参加を進めるためには、本研究結果で得た支援構造や技術が参考にできる一方、今後は参加の背景にある力関係、パワーの問題を分析する必要性がある。
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