2011 Fiscal Year Annual Research Report
育児支援システムにおける住民主体型担い手についての実証的研究
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21730483
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
山下 亜紀子 宮崎大学, 教育文化学部, 講師 (40442438)
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Keywords | 育児支援 / 担い手 / 住民主体型 |
Research Abstract |
本研究の目的は、育児支援システムにおいて、「特定非営利活動促進法(NPO法)」施行後10年間の住民主体型育児支援の担い手の成果と今後の展開可能性についての検証することにある。平成23年度は、平成22年度の研究成果をまとめ、5月の日本家政学会で口頭発表を行い、さらに『宮崎大学教育文化学部紀要』に論文を掲載した。さらに『西日本社会学会年報』においても論文1本が掲載予定である。 これらにおいては、第1に住民主体型育児支援組織のリーダーの意識について分析を行った。この結果、リーダーらが活動をはじめるに至った動機付けとして、専門性の活用、家族・地域の代替性、子育て経験の活用、社会参加、学習への志向性、ネットワーキングへの志向性の6類型があることが明らかになった。また行政関与型のファミリー・サポート・センターの支援者との比較も含めて分析を行った結果、他者への支援志向の強さ、動機付けとしての明確な認知、経験や学習活動によって裏打ちされた動機付けとしての強固さなどが特徴として明らかになり、組織の活動の多様性や質の高さを保持する規定要因となっていることが示唆された。 第2に、育児支援が充足されていないとされる障害児家族に対し、支援活動を行っている住民主体型組織の分析を行った。この結果、組織の問題認識として、母親の孤立状況、きょうだい児の心理的負担感、情報の乏しさ、地域住民との関係性の4点が導き出された。また活動の特徴として、既成の枠組みにとらわれない支援、家族メンバーへの支援、組織外部との積極的な連携姿勢、活動継続への努力の4点が見出され、家族メンバーそれぞれに対する支援が成立している点において支援の有用性があることを示した。
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