2010 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者ケア施設におけるターミナルケア実施が職員に与える心理的影響
Project/Area Number |
21730486
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
安部 幸志 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 長寿政策科学研究部, 室長 (90416181)
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Keywords | 社会福祉関係 / ターミナルケア / 高齢者福祉 / 心理学 / 介護老人福祉施設 |
Research Abstract |
本年度は、高齢者ケア施設に勤務するケアワーカーを対象とした全国調査のデータを用いて、ターミナルケア実施の経験が与える心理的影響について、肯定的・否定的の両側面から分析を行った。具体的には、財団法人介護労働安定センターの2007年度介護施設雇用管理実態調査のうち、施設労働者調査の個表データを用いて検討した。データの二次分析に使用するにあたり、東京大学社会科学研究所付属社会調査・データアーカイブ研究センターSSJデータアーカイブから許可を得た。分析の対象としたのは、2512名の介護労働者であり、男性631名(25.1%)、女性1881名(74.9%)であった。まず、予備分析として、事業所・職場・仕事のストレス関連要因とバーンアウト指標に着目して分析を行ったところ、事業所・職場・仕事ストレス関連要因と、バーンアウトとの間に有意な相関が認められた。次に、仕事を通じた肯定的経験の有無に着目し、バーンアウトとの関連について重回帰分析を行ったところ、肯定的経験はバーンアウトに対して直接的にバーンアウトを軽減する効果を有していることが明らかとなった。そこで、これまで行ってきた分析と同様に、ターミナルケアの経験の有無と、バーンアウトとの関連について分析を行った。その結果、全国調査のデータにおいては、ターミナルケアの経験の有無とバーンアウトとの関連は認められず、これまでの知見とは異なる結果が得られた。この原因としては、ターミナルケアの経験を肯定的に解釈しているかどうかが大きく影響していると考えられる。今後は、ターミナルケアに対する態度に加え、前年度までの調査データと、介護労働安定センターの調査データにおける対象者の基本属性の差異や多変量解析における推定方法の見直し等の検討を行い、さらに分析を進めていく必要があると考えられる。
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Research Products
(4 results)