2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730489
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
辻本 昌弘 Tohoku University, 大学院・文学研究科, 准教授 (90347972)
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Keywords | 文化変容 / 社会的交換 / アルゼンチン |
Research Abstract |
研究目的は、アルゼンチン日系人を対象とした実証的・理論的研究を実施し、日系人の社会的交換、民族間関係、日系社会の変化などを解明することである。研究実績の概要は以下のとおりである。 1.アルゼンチン日系人を対象とした現地調査を実施した。具体的には、戦前生まれの日系人二世を対象としたインタビュー調査を実施するとともに、日系人二世に関係のある文献資料を収集した。これらの結果から、ヨーロッパ系を中心とする多民族社会においてアジア系として生きる意味といったことが、日系人二世の生活史やアイデンティティに関連する場合があることが示唆された。ただし、目系人二世といっても、戦前生まれの人たちと戦後生まれの人たち、都市部で育った人たちとそうでない人たちのあいだでは、いくつかの違いがあることも示唆され、これらが今後の研究課題になることが明らかになった。 2.アルゼンチン日系人のあいだでは、講集団が活発に行われている。講集団とは参加者が金銭を交換して助け合いを行う組織であり、社会上昇や親睦の実現のために活用されている。社会心理学の立場からみると、講集団には社会的ジレンマの側面がある。アルゼンチン日系人の講集団の資料を分析するとともに、進化シミュレーションを講集団に応用する共同研究を行い、講集団について数理的分析を行った。その結果、講集団を結成する際におこなわれる評判にもとづく参加者選抜に加えて、非協力者に資源を与えない制度が、相互協力を促進するために必要であることが明らかになった。
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Research Products
(3 results)