2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730489
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
辻本 昌弘 東北大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (90347972)
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Keywords | 文化変容 / 社会的交換 / アルゼンチン |
Research Abstract |
研究目的は、アルゼンチン日系人を対象とした社会調査、さらにそれと関連づけた理論研究を行い、文化変容および社会的交換について解明することである。研究実績の概要は以下のとおりである。 1.アルゼンチン日系人の調査を実施した。まず、昨年度実施した戦前生まれの日系二世のうち重要な対象者について追跡調査を行った。また、アルゼンチン日系人には沖縄出身者が多い。少年期に移住した沖縄出身者に対して生活史の聞き取り実施し、そのライフコースやアイデンティティに、沖縄・日本本土・アルゼンチンの文化や時代史がどのような影響をあたえているのか検討した。 2.アルゼンチン日系人の講集団について調査を実施した。講集団とは、参加者が金銭を融通して助け合う社会的交換である。理論的には、講集団のような助け合いを実現するためには、フリー・ライダー(非協力者)の抑制が必要だと考えられる。これまで、日系一世の講集団については相当のデータを蓄積しているが、日系二世の講集団の調査が欠けていた。そこで、日系二世の講集団の事例研究を行い、基本属性(参加者・仕組み・活用目的等)を確認するとともに、フリーライダーを抑制していると考えられる講集団の参加者選抜について検討した。 3.進化シミュレーションを講集団に応用する共同研究を行った。現時点での進化シミュレーションの結果と、アルゼンチンでの講集団の調査結果を照合し、講集団のような社会的交換を維持するうえで、どのような参加者選抜が必要になるのか検討した。
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