2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730489
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
辻本 昌弘 東北大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (90347972)
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Keywords | 文化変容 / 社会的交換 / アルゼンチン / 生活史 |
Research Abstract |
研究目的は、アルゼンチン日系人を対象とした社会調査、さらにそれと関連づけた理論研究を行い、文化変容および社会的交換について解明することである。研究実績の概要は以下のとおりである。 1.アルゼンチンにおいて、戦前生まれの日系人を対象とした研究を実施した。補足的な資料収集を行うとともに、過去2年間にわたり収集してきたインタビュー結果の分析・解釈を現地の日系人と協働して行った。これは、部外者である調査者と現地の人々が対等の立場で対話を交わしながら、学術的に価値がありなおかつ現地の人々にも貢献可能性のある結果を出すことを試みたものである。以上をもとに、二十世紀前半の日系人の生活と体験について検討する際の論点を明らかにした。 2.アルゼンチンにおいて、昨年度から着手している生活史のインテンシブな聞き取り調査を継続した。出生地域、日本での生活、移住後の生活など人生経歴を仔細に確認する作業を行った。生活史を補強するための背景資料が必要であることから、日本国内で関連文書を所蔵する研究施設等において資料収集を行った。以上の作業により、移民のライフコースと時代史を詳細に把握した。以上の基礎資料をもとに生活史の作成・解釈を行うことが今後の課題となる。 3.アルゼンチン日系人の講集団について総括を行った。講集団とは、参加者が金銭を融通して助け合いを行う慣習である。本研究の調査で得られた事例と従来から明らかにされてきたアルゼンチン日系人研究の知見を総合し、講集団の有効性と弊害を明らかにした。
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Research Products
(1 results)