2011 Fiscal Year Annual Research Report
リスク体験型講習における危険行動抑制メカニズムの解明
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21730490
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
稲葉 緑 電気通信大学, 大学院・情報システム学研究科, 助教 (80419093)
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Keywords | リスク体験 / リスク認知 / 社会心理学 / 安全運転教習 / 高齢者 |
Research Abstract |
本研究は、専門知識に基づき遂行される作業においてしばしば慎重さが失われる問題に対し、リスク体験型講習が及ぼす効果とそれに寄与する要因について解明することを目的としている。この目的を達成するため、2種類の実験を実施してきた。 A)運転ドライバ講習に関する実験 B)メーカーにおける安全作業を目的とした作業研修を想定した実験 A)について、ドライビングシミュレータを使用したリスク教習を模した実験を平成22年度に終了させた。23年度は、このときのリスク教習効果の持続性について検討するための実験を実施した。22年度の実験に参加した被験者に再度の実験参加を依頼した。被験者が以前の実験内容について思い出して運転した場合のデータではなく、日頃の運転における教習効果の持続性をみることを目的としていたため、実験に際し被験者には、22年度に実施した実験とは関係ないテーマについて調べると説明した。これに関連して、リスク教習とは関係ないが、高齢者のリスク認知特性を明らかにするのに有用な運転シナリオでもドライビングシミュレータを運転してもらったり、コンピュータ上での意思決定課題(最後通牒課題)にも取り組んでもらったりした。運転データの解析は途中まで終え、国際雑誌に投稿したところである。また、教習効果の持続性に関しては、今後も解析を継続させる。さらに、高齢者のリスク認知を知る上で有効な運転シナリオでの運転データは国際学会と学内シンポジウムにて発表、最後通牒課題の結果は、国内雑誌に投稿済みである。 B)の実験は23年度に実施した。このデータは昨年度の日本心理学会にて発表済みである。この学会発表において、多くの聴講者の方と活発に議論し、様々なご意見をいただいた。これを参考に、今後は考察をさらに展開し、国内学術誌に投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度開始当初は震災の影響により、実験の制限が懸念されたが、夏季の実施を避けたことで、ほぼ計画通りに研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が本研究課題の最終年度となるため、23年度までに実施した実験結果を整理する。特に、本研究が焦点を当てている自己モニタリング、および感情的高揚とリスク体験型学習の効果との関係について洞察し、リスク体験型講習がリスク認識、およびリスク行動に及ぼす影響について総括する。
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Research Products
(3 results)