2012 Fiscal Year Annual Research Report
リスク体験型講習における危険行動抑制メカニズムの解明
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21730490
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
稲葉 緑 電気通信大学, 大学院情報システム学研究科, 助教 (80419093)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | リスク体験 / リスク認知 / 社会心理学 / 安全運転教習 / 高齢者 |
Research Abstract |
本研究は、リスクを伴う作業において慎重さが失われる問題に対し、リスク体験型講習が及ぼす効果とそれに寄与する要因について解明することを目指した。特に次の2点に着目した:1)自己モニタリング能力との関連、2)リスク体験による感情的高揚の講習効果への寄与。また、体験型講習の効果について異なる種類の作業間で比較するとともに、各要因との関係について網羅的に調べるため、A)自動車運転、B)企業における安全管理作業を模擬した実験をそれぞれ実施した。 その結果、1)自己モニタリング能力との関係については、高齢者等、モニタリング能力そのものが若年者に比べ低下している可能性がある場合に、リスク体験が講習効果を向上させ得ることが示された。ただ、若年者に関しては、実際の行動と行為者が持つ自身に対するイメージとを一致させるにあたって、リスク体験が非常に効果的であるとの結論には至らなかった。また、若年者を対象とした実験において、非意図的なスキルベースのエラーの抑制は、リスク体験の導入によって講習効果が増幅した一方、作業そのものを単純に繰り返す練習によってもエラーは減少した。強い感情への曝露による受講者の負担を考慮すると、これらのエラー抑制についてリスク体験の重要性が極めて高いとは推測されなかった。 2)リスク体験による感情的な要因の効果は、2つの特徴を示した。第一に、リスク体験が受講者に驚きの感情等のみを提供する場合に比べ、社会的に否定的な影響を及ぼすことを理解させた場合の方が、講習効果の持続性が確認された。第二に、リスク体験は、全体的な作業の正確性を高めるというよりは、事故が起こる確率を0にする頻度を高める形で、特に意図的逸脱の抑制に効果的であった。 最終的には、リスク体験が高い抑制効果を示すエラーの特徴と限界点に関する結果に基づき、リスク体験が講習効果を高める機序について考察を展開した。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)