2009 Fiscal Year Annual Research Report
潜在的自尊心の補償的高揚と集団価値の内在化の過程の検討
Project/Area Number |
21730491
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Research Institution | Nara University |
Principal Investigator |
村上 史朗 Nara University, 社会学部, 准教授 (30397088)
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Keywords | 社会系心理学 |
Research Abstract |
本研究全体の目的は、潜在的自尊心の文脈依存性について、特に潜在的自尊心の補償的高揚と集団価値の内在化を検討することである。近年注目が高まっている潜在的態度については、その重要性は広く認知されているものの、その変動に関わる要因にっいては不明確な点が多い。本研究では、ネガティブなイベント後に潜在的自尊心が補償的に高揚する効果に注目し、その性質を検討する。 平成21年度は3年間の研究の初年度にあたるため、研究全体の環境の構築と情報収集を上半期に行った。また、下半期に第一実験の予備調査と準備を進行した。第一実験の目的は、Rudman(2008)で示された潜在的自尊心の補償的高揚について、その領域特殊性を示すことである。Rudmanの研究ではネガティブなイベントの生起後に潜在的自尊心の補償的高揚が生じることが示されていたが、本研究ではその効果がどのような領域でも生じるものではなく、個人にとって重要性の高い領域で生じるという仮説を設定し、その検証を目的とした。この仮説が支持されれば、不明確な点が多い潜在的態度の変容の条件について、新たな要因のひとつが解明されることになる。 21年度中に行った作業は、実験計画の立案と事前調査、本実験の材料作成である。事前調査において、文脈を特定しない状態での潜在的自尊心を測定し、実験操作に用いる文脈の有効性を検討した。この段階で当初用いる予定であった操作が有効に機能しないことが判明したため、実験操作方法の修正を行った。当初計画では平成21年度中に第一実験のデータ収集を終了する予定であったが、この修正により第一実験の実験材料(プログラム)作成までを年度内に行った。実験操作方法の修正は完了しており、平成22年度の早い時期に第一実験を開始できる見込みである。
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