2010 Fiscal Year Annual Research Report
潜在的自尊心の補償的高揚と集団価値の内在化の過程の検討
Project/Area Number |
21730491
|
Research Institution | Nara University |
Principal Investigator |
村上 史朗 奈良大学, 社会学部, 准教授 (30397088)
|
Keywords | 社会系心理学 |
Research Abstract |
潜在的自尊心の補償的高揚を示した先行研究であるRudman et al.(2007)では、補償的高揚をもたらす脅威の操作として、性同一性への脅威や友人からの拒絶などを用いていた。より一般的に脅威が補償的高揚を導くかについて検討するために、本研究では架空のテスト課題に対する否定的フィードバックを用いたところ、補償的自己高揚が生じなかった。このことは、脅威に対しては常に補償的自己高揚が生じるわけではないことを示している。この点について、同じく補償的自己高揚が生じなかった村上(2008)などの先行研究と総合して考察し、自己価値に随伴した領域における脅威が与えられた場合に補償的自己高揚が生じるのではないかと解釈した。そこで、自己と潜在的な連合の強い領域に関して脅威を与える手続きで潜在的自尊心の補償的高揚の生起が確認できるかを検討する研究を計画し、平成23年度実験を行うべく準備を行った。 また、平行して、潜在的自尊心の補償的高揚が集団価値の内在化を検討する実験(潜在的自尊心の補償的高揚が生じる脅威の特定のための上記の実験後に実施する予定)の準備作業として、社会的規範の遵守状況や規範への態度の基礎的データを得るためにインターネット調査を実施した。この調査は、集団価値の内在化を検討する上で適切な社会的規範を選別するために行っており、予備研究の位置づけとなる。具体的には、天井効果が予測される遵守率が高すぎる規範を除外すること、そもそも社会的に望ましいと考えられていない規範(集団価値のあるものと認められないもの)を除外することを主たる目的とした。
|