2010 Fiscal Year Annual Research Report
病院組織におけるリーダーシップの共有型発揮形態の検討
Project/Area Number |
21730496
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Research Institution | Ryutsu Keizai University |
Principal Investigator |
高口 央 流通経済大学, 社会学部, 准教授 (00397936)
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Keywords | 集団 / リーダーシップ / shared leadership |
Research Abstract |
医療現場におけるリーダーシップ発揮形態が、看護師自身と患者へのケアに及ぼす効果を検討することを、研究の目的としている。具体的には、共有型リーダーシップ(shared leadership)として提唱される観点から、看護師個々人のリーダーシップの発揮に注目し、病棟看護師のリーダーシップの発揮形態が各看護師の意識変化、勤務意欲、およびインシデント発生率に及ぼす影響を明らかにすることを目指す。 前年度までの助成期間に縦断調査を実施することができた。現在、これまでに実施したデータについて、分析中であるが、引き続き分析検討を行うとともに、本年度も継続して調査を実施する。現時点で、行った基礎的な検討については所属大学の紀要に一部をまとめ論文として執筆し公表した(高口央(2011)「リーダーシップの共有的発揮携帯と仕事意欲との関連についての基礎的検討」流通経済大学社会学部論叢第21巻2号Pp33-44.)。この検討の結果、調査1(7月)でのリーダーシップ共有度と、調査2(11月)での会合評価といったモラール、および病院への勤続意欲とに正の相関関係があることが確認できた。加えて、師長からの業務要求の高低群に分割した場合、高群において、この関連が堅固となることが示された。このことは、医療現場で特に問題とされる医療ミスなどの防止・抑制にも、権限委譲に基づく共有的なリーダーシップの発揮が有効な可能性を示すとともに、業務要求が厳格な職場環境においてリーダーシップの共有的な発揮がより有効である可能性を示唆するものと思われる。 本年度については、これまでの協力病院における調査を基礎として、インターネットを用いた看護職者を対象とする横断的な調査についても計画し、これまでの検討結果の一般化可能性についての予備的検討を行うことも本年度は計画している。
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