将来予測における自己知識の役割と時間的距離による自己知識適用の調整効果

2009 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 21730498
• Research Institution: Showa Women's University
• Principal Investigator: 藤島 喜嗣 Showa Women's University, 生活機構研究科, 准教授 (80349125)
• Keywords: 社会系心理学

Research Abstract

平成21年度は二点について検討した。第一に、当初目標通り、自伝的記憶が活性化された場合にその記憶内容が将来予測に影響を及ぼすか、またその効果が時間的に近い場合に限定されるかを検討した。研究1では、大学生対象に実験を行った。肯定的もしくは否定的な自己特性もしくは事例を2つ想起させた後に、就職活動に対する時間的距離感をたずね、就職活動に対する予測をさせた。当初計画にあった時間的距離を実際に操作する研究は、手続き上改善の余地があったため、平成22年度に実施することとした。
第二に、翌年度に計画していた実験2つを前倒して実施し、自尊心もしくは自己概念が活性化されたときに将来予測に影響を及ぼすか、またその効果が時間的に遠い場合に限定されるかを検討した。研究2では、大学生対象に実験を行つた。自尊心を活性化させた、もしくは活性化させずに、期末テストまでの時間的距離感をたずねた。その後、準備内容および準備時間、成績に関する将来予測をさせた。テスト時に実際の準備時間、成績について回答を求めた。研究3では、実際に課題までの時間的距離を操作した実験を行った。自己概念を活性化させた、もしくは活性化させずに課題に要する時間、遂行の質について予測させた。課題後に実際に要した時間ならびに遂行の質についてたずねた。
これらの3研究は、従来、動機づけられた推論の観点から検討されてきた将来予測研究に、自己に関する記憶という新しい観点からアプローチした点で重要である。また、調整変数の検討も同時に行っている点でも意義深い。社会的判断、自伝的記憶に対する寄与が期待される。これら3研究の成果は、平成22年度に学会発表を行い、論文としてまとめる予定である。また、実験参加者に向けて結果をWEB公開したい。