2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730502
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
山本 恭子 Kobe Gakuin University, 人文学部, 講師 (50469079)
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Keywords | 感情表出の葛藤場面 / 非言語的行動 / コミュニケーション / 対人関係 |
Research Abstract |
本研究の目的は,感情表出の葛藤場面を設定し,他者との関係性が感情コミュニケーション過程に及ぼす影響を検討することである。本年度は,複数観衆場面,すなわち異なる二者に対する感情表出の葛藤場面における感情コミュニケーション過程について検討した。実験では,観察者(有・無)×関係性(友人・未知・単独)の条件において,快感情喚起映像呈示中および会話中の非言語行動,および感情や社会的動機といった主観的指標を測定した。その結果,友人関係においては,どの非言語行動においても観察者の効果は認められなかった。この結果は,友人関係では二者間でコミュニケーションが完結し,外部他者の影響を受けないという仮説と一致するものであった。一方,未知関係においては,観察者あり群の方がなし群に比べてパートナーに視線を向ける行動が多かった。この結果は,観察者の存在が未知関係におけるペアの表出行動を抑制するという仮説と異なるものであった。この原因として,実験開始時は未知関係であった参加者同士が映像視聴や会話といった共同作業を通して,お互いを内集団と見なすようになったことが考えられる。このことにより,未知関係のペアは外部観察者に対する親密さの呈示として表出を促進させたのではないかと思われる。これまで観察者の存在は感情表出を抑制すると考えられてきたが,複数観衆場面においては対人関係に応じて異なる影響過程があることが示された。すなわち,友人関係においては観察者の存在は感情表出に影響しない一方,未知関係においては観察者の存在がパートナー間の凝集性を高め,感情表出を促進することが示唆された。
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