2009 Fiscal Year Annual Research Report
恐怖喚起アピールの視点による振り込め詐欺の被害過程及び被害防止対策に関する研究
Project/Area Number |
21730510
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
鈴木 護 National Research Institute of Police Science, 犯罪行動科学部, 主任研究官 (10356214)
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Keywords | 社会系心理学 / 社会問題 / 説得 / 詐欺 / 犯罪被害 |
Research Abstract |
研究初年度ではまず、振り込め詐欺の詳細な犯行過程を理解するために、各地の警察機関に保管されている資料を収集し内容を整理した。犯行の具体的な手口や犯行マニュアルから、犯人がアプローチする一般市民のほとんどは、詐欺であることをすぐに看破するため被害発生に至らないものの、動揺して冷静な判断ができなかったごく一部は被害者となることが確認された。また被害者自らの状況に引きつけて犯人側の言い分を解釈させるために、表面的には個別・具体性を感じさせる名目を用いて犯人側は被害者の反応を引き出し、得られた情報で欺岡文言のパターンを変化させることが明らかになった。 次に振り込め詐欺の4類型のうち、これまで十分な資料が得られていない架空請求詐欺に関して、架空請求を受けたことがない未接触群・架空請求を受けたものの送金したことがない非送金群・送金経験がある送金群に層分けを行い、インターネットによる調査を行った。群別比較による主な差異は次のとおりである。非送金群では葉書による請求が多い一方、送金群では携帯電話を含む電話による請求の割合が高い。他者への相談状況については全般に低調で、送金群では非送金群と比較して家族に相談したとする特に割合が低い。警察への相談や届け出については、「面倒だ」「お金が戻ってくるわけではない」といった理由から約2割にとどまっており、被害の全体像を警察が把握することが困難となっている。また認知構造欲求を群別に比較したところ、送金群では他の群に比較して認知構造欲求が高い傾向を示していたものの、非送金群と未接触群では顕著な違いは確認されなかった。 調査結果は次年度さらに詳細な分析を継続することとし、加えて被害者が送金直前に接触する金融機関職員等によるいわゆる「水際阻止」の状況に関する資料を用いて、振り込め詐欺の被害過程と防止対策について検討していくこととした。
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Research Products
(1 results)