2010 Fiscal Year Annual Research Report
中学生の過剰適応傾向における非適応性のプロセスに関する実証研究
Project/Area Number |
21730513
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
石津 憲一郎 富山大学, 人間発達科学部, 講師 (40530142)
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Keywords | 過剰適応 / 素因ストレス / 中学生 / ストレス反応 / 学校ストレッサー |
Research Abstract |
Lazarus & Folkman (1991)はストレスフルなある種の状況に反応する個人のレディネスを「心理的脆弱性(vulnerability)」とした。こうした一定の脆弱性を持つ人がネガティブな刺激や出来事に遭遇した場合に抑うつ反応をより示すという素因ストレスモデル(Davison&Neale,1994;Metalsky et al,1982)に基づく研究が,主に原因帰属の視点から蓄積されてきた。子ども対象とした研究は成人ほど多くないが,例えばLewinson et al.(2001)は抑うつスキーマとストレッサーの抑うつ得点に対する交互作用を支持し,またBrizina & Abela (2006)は行動的抑制傾向を不安に対する脆弱性(素因)として示している。本研究では中学生の過剰適応傾向を素因として設定し,思春期の学校適応における素因ストレスモデルを検討した。中学生720名を対象に14日間の期間をあけた2階の調査を行った。まず1回目の調査では過剰適応とストレス反応を測定した。2回目の調査ではストレス反応と,ここ2週間の間における学校ストレッサーを測定した。1回目のストレス反応は,共変量として設定された。過剰適応に素因としての可能性があるかを調べるため,2回目のストレス反応得点を基準変数とした階層的重回帰分析を行った。分析は1回目のストレス反応(共変量),ストレッサーの頻度,過剰適応,ストレッサーと過剰適応の交互作用項を階層に分類したうえで回帰方程式に投入した。その際,変数はすべて中心化した。その結果,男子においてストレッサーの主効果およびストレッサーと過剰適応の有意な交互作用効果が示された(交互作用項のβ=.08,p<.05)。一方,女子においてはストレッサーの主効果がみられたが,交互作用項の効果は見られなかった。
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Research Products
(8 results)