2009 Fiscal Year Annual Research Report
批判的思考力育成のための同期的・非同期的な複合的ディスカッション環境の開発
Project/Area Number |
21730520
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
沖林 洋平 Yamaguchi University, 教育学部, 講師 (20403595)
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Keywords | 批判的思考 / CSCL / デイスカッション / 大学教育 |
Research Abstract |
平成21年度は,2つの教員養成学部間での遠隔教育のツールとしてMoodleを用いたディスカッションを実施した。本研究では,これをジョイントディスカッションと称している。とりわけ,批判的思考態度の中の「探究心」が高い学生にとって,このジョイントディスカッションは,理解が困難な心理学理論の習得に寄与したことが明らかになった。また,批判的思考態度の準備性を確認するために,心理学を専門とする学部学生1年生を対象とした場合,学生が前期の心理学実験の授業で獲得した批判的思考態度は,後期の心理学の講義科目の知識理解にも影響を及ぼすことが明らかとなった。このような成果は,これまで研究の重要性が指摘されてきたCSCLを用いた遠隔教育の教育効果を示す基礎資料となるものであり,今後の教授学習プログラムの開発に意義深いと考えられる。 本研究では,これまで,大学での心理学の専門教育に対して,準備段階として導入期に批判的思考態度を高めておくことが重要であることを示してきた(例えば,藤木・沖林,2007;沖林ら,2010)。平成21年度は,批判的思考態度と自我同一性地位の関係を明らかにした。また,批判的思考態度を構成する要因の相互関係について再検討を行った。このような研究は,批判的思考態度を構成する認知的構成要素の構造と機能を明らかにする手掛かりとなる。批判的思考態度の構造と機能について研究を進めることによって,学習者や情報の受け取り手の認知特性に応じた適切な教育的介入や情報提供が可能となる。
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Research Products
(15 results)