2011 Fiscal Year Annual Research Report
学び合う授業作りを支える教師の即応性の育成を図る協同研究プログラムの開発
Project/Area Number |
21730522
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
松尾 剛 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (50525582)
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Keywords | 即応性 / 教室談話 / 協同学習 / 教師 |
Research Abstract |
本年度は、過去2年間の研究の知見を教師にフィードバックすることで、児童の発言に即興的に応じる技量を高めていくことができるか、その効果について探索的に検討する取り組みを中心におこなった。 第1に、尾之上、・丸野・松尾(2011)では、第二筆者を中心に、申請者らが継続的に校内研修の講師を行っていた学校において、長期にわたる授業観察の結果を分析することで、その効果を検討した。国語の授業4単元分を対象に、授業中の相互作用過程について分析を行った結果、最初の単元(1学期)では個人に対して発言の精緻化を求めるような関わりが多く見られていたのに対して、その後の単元(2学期)になるにつれて、発言間を関係づけるような関わりが増加する傾向が見られた。また、児童の発言を引用する際にも、単純に発言を繰り返すようなやり方から、発言を明確化したり、意味づけたりするような関わりへと変化が見られた。 第2に、F県内の複数の小学校に所属する教員10名程度と協同で、児童が学び合う授業づくりのための研究会(「教育トライアングル」)を実施した。会は隔週土曜日に実施し、全18回開催された。その内容はテキストの講読と、参加者が行った授業のVTRを全員で視聴して議論を行うという活動で構成した。授業VTRを視聴した上で議論をする際には、授業者が授業のねらいや働きかけの意図などを説明した上で、教師の働きかけが、協同学習の質を高める上でいかに効果的であったか、また、どのような働きかけがより効果的であると考えられるか、などの視点から参加者全員で議論を行った。必要に応じて申請者が授業実践を分析してフィードバックした。本年度末の質問紙調査の記述回答として、研究の知見を用いて授業を意味づけられることで、新たな視点から子どもの発言について捉え直すことができた、などの感想が得られており、今回の取り組みが教員との授業研修において有効に機能しうることが示唆された。
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