2009 Fiscal Year Annual Research Report
大学・短期大学における学校不適応予防アプローチ探求のための実証研究
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21730523
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Research Institution | Jumonji University |
Principal Investigator |
加藤 陽子 Jumonji University, 人間生活学部, 講師 (40409701)
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Keywords | 大学 / 短期大学 / 不登校 / 登校行動持続要因 / 学校不適応 / テキストマイニング / 学生相談 / 予防的アプローチ |
Research Abstract |
平成21年度は、これまで得られていた「義務教育における登校行動持続要因」のデータを詳細に分析するために、国内外の関係諸機関や多数の研究者と協力し合いながら、引き続き分析の枠組みとなるデータや資料の収集にあたった。また同時に、登校行動持続要因の基底要素と考えられている「精神充足」および「社会的能力」や「自己観」を測定するKJQ尺度やTSTを利用し、登校行動持続要因とこれら基底要素と関連についても分析した。こうした取り組みからは、精神充足と社会的能力の獲得が登校行動持続に大きく関与し、また精神的充足・社会的適応力の双方がない者ほど自己の社会的地位やラベリング、対象への関心についての記述が多く、表面的な自己観しか表出されないとの示唆を得た。なお、以上の結果は日本臨床心理学学会などにて発表済みである。さらに本年度は、高等教育版の登校行動持続要因を検討するため、旨学校不適応に陥らずに(あるいは不適応状態を克服して)青年期に達した大学生・短期大学生を中心に「現在不登校になっていない理由(大学に通い続けられている理由)」に関する自由記述を約300例収集した。得られた自由記述については、Wordminer(R)を用いてテキストマイニングを行った。その結果、現在のところ、「経済的支え」「スキル・資格の獲得」「将来性」「家族の支え」「学校内の居場所」「学校外の居場所」などが、大学生らの登校行動を持続させている要因であることが明らかになりつつある。これらの要因は、それぞれ調査対象者に登校行動を持続させたファクターであり、不登校予防への重要な構成要素となりうるといえるだろう。以上の結果を踏まえて、来年度は、結果の信頼性のためにさらなる大学生・短期大学生の登校行動持続要因に関するデータ収集と分析結果の蓄積を目指す。加えて、臨床実践の場で活躍しておられる諸研究者とともに広く意見交換を行うことで、より実践的な不登校予防研究を行なうための連携に努めていく予定である。
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Research Products
(1 results)