2010 Fiscal Year Annual Research Report
大学・短期大学における学校不適応予防アプローチ探究のための実証研究
Project/Area Number |
21730523
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Research Institution | Jumonji University |
Principal Investigator |
加藤 陽子 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 講師 (40409701)
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Keywords | 大学 / 短期大学 / 不登校 / 登校行動持続要因 / 学校不適応 / テキストマイニング / 学生相談 / 予防的アポローチ |
Research Abstract |
平成22年度は、(1)「登校行動持続要因」のテキストマイニング、および、(2)登校行動持続要因の保有数と出席率・登校率の関連、について検討した。 まず、大学生473名(平均年齢19.33歳、SD=1.05)を対象とした「登校行動持続要因」に関する自由記述をテキストマイニングした結果、87構成要素が得られた。全構成要素数を対象に行った対応分析から得られた成分スコアをもとにクラスタ分析を行った結果、「就職への手段」「他者による支え」などの10クラスタが得られた。また布置図から、登校行動持続要因は2つの軸からなり、個人は持続要因を複数持つことが明らかとなった。さらに、持続要因には性差が見られ、女性は対人関係や情緒的な要素を重視したポジティブな理由を、男性は環境や手段的な要素を重視したネガティブな理由を取り上げやすいことが示唆された。 次に、女子大学生470名(平均年齢19.20;SD=2.20)を対象に、登校行動持続要因と登校回避感情、出席率、登校率に関する質問紙調査を行った。持続要因保有数と回避感情を独立変数、出席率および登校率を従属変数とした分散分析を行った結果、登校率でのみ有意な交互作用がみられ、登校行動持続要因保有数低群・中群における登校回避感情の単純主効果がそれぞれ有意であり、持続要因を多く保有していない場合、登校回避感情が高いほど登校率が低い傾向にあった。また、登校回避感情高群における持続要因保有数高群の単純主効果が有意であり、登校回避感情が高い場合でも持続要因を多く保有していれば、登校率が高い傾向にあった。したがって、登校行動持続要因を多く保有することは、登校への意味づけを相乗的に強め、登校行動を持続させやすいと考えられる。 今後は不登校への予防的援助として、回避感情の抑制だけでなく、持続要因の保有数増加のための検討も行っていく必要が示唆された。
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Research Products
(1 results)