2009 Fiscal Year Annual Research Report
幼児における抑制機能と言語理解の発達の関連性の検討
Project/Area Number |
21730537
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
神長 伸幸 The Institute of Physical and Chemical Research, 言語発達研究チーム, リサーチアソシエイト (90435652)
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Keywords | 言語発達 / 実行機能 |
Research Abstract |
本年度は、幼児の文理解中の眼球運動データを解析した。その結果、5歳児と6歳児では、形容詞を理解する様式に質的な際があることが明らかになった。また、6歳児と成人を比較した結果、形容詞の用い方に際はないものの、理解の内容に誤りがあるといったん気づいた後に、正しい解釈に到達するまでの時間が6歳児でより長くなることが明らかになった。このような結果より、幼児は、単語の意味を知るだけではなく、文脈に応じた理解を次第に形成していく こと、および知識以外に一般的な認知要因が効率的な文理解に影響することが示唆された。 また、標準化された言語理解テストを用いて、一般的な言語発達に実行機能の発達が影響するかどうかを検討する ための調査を実施した。合計で38名の5歳児について標準言語発達検査(LCスケール)と二つの実行機能を評価する ための課題(デイナイト課題、サイモン課題)、および数唱課題を実施し、データを習得した。得られたデータは現在解析中である。この調査の結果から、一般的な言語発達に実行機能の発達が影響するかどうか、また、その影響が数唱課題で測定されるような記憶容量の影響とは独立したものであるかどうかが明らかになることが予測される。これまで実行機能は生後から十代後半に至るまで発達し続けることが知られているが、その発達によって、言語理解や言語産出、コミュニケーションの発達がどのように影響を受けるのかどうかは明らかにされていない。本研究の結果は、一般的な言語発達への影響のみならず、言語発達の中でもどのような側面に特に重大な影響をもたらすのかを示唆し得ると考えられる。
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