2009 Fiscal Year Annual Research Report
催眠療法の治療的メカニズムおよび有効性に関する理論的枠組みの構築
Project/Area Number |
21730541
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
清水 貴裕 Akita University, 教育文化学部, 講師 (00375453)
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Keywords | 催眠 / 態度 / 期待 / 自己変容 / 不随意性 |
Research Abstract |
平成21年度は、催眠感受性および催眠に対する被催眠者の知識・信念である催眠状態イメージと、自己評価、自己変容への期待などの自己観との関連について検討することを目的とした。 まず21年度研究の前段階として、「自分が催眠状態になるとどのような状態になると期待するか」という催眠状態期待および催眠態度(「催眠を受けたいかどうか」)と、催眠感受性との関連について検討した(21年度研究1)。その結果、特に主観的な催眠体験には、催眠状態期待よりも催眠態度の方が影響を及ぼしていることが示された。しかし質問紙によって参加者自身の催眠状態期待を測定する方法が、自己の催眠による変容の期待を反映していないことも考えられるため、より間接的に自己変容への期待を測定する方法について検討した。 そこで研究2では、自己変容の必要性を反映する指標として、生きがい感スケール(近藤・鎌田,1998)を用い、現在の自分の日常生活の捉え方と催眠状態イメージおよび催眠感受性の関連について検討した。その結果、人生において希望ややりがいを持つ意欲の高い参加者と意欲の低い参加者では、催眠に対する動機づけのタイプが異なる可能性が示唆された。意欲の高い参加者は従来より指摘されているように、催眠に対して積極的に関与する姿勢を持つことから催眠反応が高いのに対し、人生への意欲の低い参加者は、むしろ催眠によって現状を変えたいという自己変容の動機が催眠への反応を高めていることが推測される。さらにこうした催眠への動機づけの違いが催眠療法の効果にどのように影響するのかについて明らかにする必要がある。 研究3では、IAT(Implicit Association Test)を用いた潜在的な自己評価、自己変容の期待と催眠状態イメージおよび催眠感受性との関連について検討しており、現在データ収集の段階である。
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