2009 Fiscal Year Annual Research Report
感情制御研究の実験枠組みを用いてのバーンアウト(燃え尽症候群)メカニズムの解明
Project/Area Number |
21730545
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
小堀 彩子 Shizuoka University, 人文社会科学研究科, 助教 (00432188)
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Keywords | バーンアウト / 感情制御 / 看護師 / 臨床心理学 / 感情労働 |
Research Abstract |
感情制御研究の実験枠組みを用いてのバーンアウト(燃え尽症候群)メカニズムの解明の前段階として次の2点の研究を実施した。(1)ヒューマン・サービスの需要増加という時代背景から誕生したバーンアウト研究が,その後,主に社会心理学の文脈において発展したことによる利点と問題点をまとめた。その上でさらに,今後バーンアウト研究の発展とバーンアウト予防のために臨床心理学が果たしうる役割についても論じた。(2)夜勤を伴う看護師を対象に,看護師の主観的眠気の把握の正確さを自分自身の心身の疲労に対するセルフモニタリングの正確さの指標とし,セルフモニタリングの正確さと感情労働の程度が,バーンアウトの高低とどのように関係しているかについて,質問紙法によって検討した。その結果,自らの心身の疲労に対するセリフモニタリングが正確でない者は,それらを正確に評価する者に比べ,感情労働に対する自分のバーンアウトの程度を認識することが困難であることが明らかになった。これらの知見は,ストレスマネジメントの観点から職場の人員配置や看護師のセルフケアのための心理教育に有用といえるだけでなく,調査対象者の主観に頼らざるをえない質問紙調査の限界を明確にしたといえる。研究において,バーンアウトなど心身の疲労とそのリスクファクターである感情労働を扱う場合には,主観的評価だけでなく,生理的指標などの客観的指標も用いることが重要といえる。
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Research Products
(2 results)