2009 Fiscal Year Annual Research Report
広汎性発達障害の早期介入指標としての乳幼児における注視点分布解析法の開発
Project/Area Number |
21730546
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
井上 淳 Hamamatsu University School of Medicine, 医学部附属病院, 臨床心理士(非常勤) (90535577)
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Keywords | 広汎性発逹障害 / 子ども / 注視点の異常 |
Research Abstract |
研究の概要 広汎性発達障害児の社会的予後は、心理学的介入(療育)を早期に開始できるかどうかによってきまる。近年、妥当性の高い早期兆候として、「注視点の異常」が指摘されている。この所見は早ければ1歳前後で得られることから、注視点の異常の存在を正しく評価できれば、広汎性発達障害を早期に見いだし、療育を早期に開始できる可能性が広がる。そこで、診断の確定した30名の対象児について、新たに開発した頭部固定の不要な注視点検出機器を用い、その注視点の分布を30名の定型発達児と比較して、注視点の異常の検出法を確立する。 方法 今年度は、妥当性の高い指標の確立を目指して、提示する刺激画像の選定と、2~12歳の定型発達児25名の予備データ収集を行った。刺激画像の必須要件を以下とした。(1)ヒトの顔を中心に据えたものであること。定型発達児は目を中心に顔貌を認知するが、発達障害児はそれをしないことが根拠となる。さらに、(2)子どもを長時間束縛する必要がない、(3)定型発達、自閉症を問わず、時折子どもの好きなアニメなどを織り込んで、飽きさせないようにする。 結果 3分程度のヴァーチャル動画を用意し、昨年度の下半期より予備実験を行った。ところが、小学生の子どもたちにヴァーチャル動画の評判が芳しくなく、また中には却って緊張する子もおり、さらには視線を動かす動画に対する子どもの視点の移動に大きな個人差が得られた。そこで、実写映像を用いた視覚刺激を用意し、再度予備実験を行った。今回は特段の不評も、苦痛の訴えもなく3~4分の視覚刺激動画を見続けることができた。また、ディスプレイを5x5分割し、それぞれの領域に視点がどれくらいとどまっていたかをトレースできるようなプログラムを準備した。 結論 広汎性発達障害児にも使える機器の初期設定が完了した。次年度にデータ収集・解析を行う。
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