2009 Fiscal Year Annual Research Report
ロールレタリングの内容評定チェックリストの作成と活用
Project/Area Number |
21730551
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
金子 周平 Tottori University, 大学院・医学系研究科, 講師 (10529431)
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Keywords | ロールレタリング / 内容評定チェックリスト / 記述動機単位 / プロセス理解 |
Research Abstract |
試作段階のロールレタリング内容評定チェックリスト(往信19コード、返信18コードで構成)の信頼性と妥当性を確認した。筆者を含む3名のロールレタリングの実践家から省略・修正のない19の手紙を収集した。そのデータについて3名の専門家と大学院生4名によるコード化を行い,コードの分割,統合,項目の追加,記述の修正を経て,内容評定チェックリストを再構成した(往信15コード,返信14コードで構成)。またコードの信頼性として半数以上が同一のコードを選択した確率は83.3%となった。6,7名程でコード化を行えば,ほぼ多数の判断を採用できることが分かった。しかし2,3名によるコード化が実践的であり、任意の2名による一致率は50.3%,任意の3名の内2名の一致率は82.2%となった。決して高い確率ではないが,以上のことから3名以上によって一致したコードの採用や協議・再検討を行うことで信頼性が確保できると考えられる。妥当性の検討は(1) 出現頻度:コードに該当する記述が出現する頻度についての主観的判断,(2) コード化のしやすさ:各コード間が独立性(相互に背反),理解しやすさなどの主観的判断,(3) 臨床的重要度:臨床心理学的に注目すべき、もしくは何らかの指標となる度合いの3つの視点によって行った。筆者を含む3名の専門家によって妥当性の5段階評価がなされた。その平均値が極端に低いもの(全体の平均値-2SD)はみられず、コード化に強く支障を来さないと判断した。 本研究で作成した内容評定チェックリストは,最小限のコード数で構成され,信頼性や妥当性が確保されることを示したため,研究利用では実用段階と判断できよう。このコード表は1) 膨大な記述を,動機や意図のレベルで要約でき,2) そのコード化を3名以上で行うことで信頼性を確保できる,さらに3) 特定の記述の数量化を通して実証的研究に活用できることが示された。
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Research Products
(5 results)