2010 Fiscal Year Annual Research Report
ロールレタリングの内容評定チェックリストの作成と活用
Project/Area Number |
21730551
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
金子 周平 鳥取大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (10529431)
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Keywords | ロールレタリング / 内容評定チェックリスト / 繰り返し表現 / プロセス理解 |
Research Abstract |
ロールレタリングの記述の分析を行い、そこにみられる繰り返し構造の発見と仮説的分類を行った。ロールレタリング内容評定チェックリスト(往信15コード,返信14コードで構成)を用いて,3名(筆者の他,大学院生2名)がロールレタリングの記述をコード化し,3名中2名以上が一致したコードを採用する方法をとった。ロールレタリングにおける25通の往信(自分から相手への手紙)と25通の返信(相手から自分への手紙)を対象とした。3名のコードが全く一致しなかった場合には筆者が3名のコードを総合的に判断し決定した。各手紙は「記述動機単位」で820の単位に区切られた。並べられたコードから繰り返し表現として捉えたものは,同一パターンが繰り返される場合と同一のコードが2回以上繰り返される場合の2通りである。本研究で仮説的に分類された繰り返し表現は,「明確化」,「安定感・安心感」,「相反する感情の葛藤」,「緩やかな直面化」,「カタルシスと直面化」の5種類である。前半の二種類の繰り返しは,自分の感情や意志,思考をより確実にしていくために行われていること、後半の三種類は。相反するコードが繰り返し出現し,繰り返し自体がその統合や解消を目的に内包していることから「漸進的な繰り返し」と上位概念でまとめた。また、ロールレタリング記述評定チェックリストを記述のプロセス理解のためのツールとして用いた事例研究を行った。手紙をそのまま読み,内容を要約しながら理解していくことは困難であるが,コードの流れを追うことで,そこに表現された動機や意図を読み解くことが容易となった。例えば事例における1往復目のロールレタリングのテーマは「確証」であり,2往復目は「緩やかな直面化」,3往復目は「自己成長への期待」というように,繰り返し表現に着目しながら大まかな理解を行うことが可能であることを示した。
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Research Products
(5 results)