2011 Fiscal Year Annual Research Report
学校ー警察間連携の促進を目指した初期非行に対するアセスメントシステムの開発
Project/Area Number |
21730560
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
松嶋 秀明 滋賀県立大学, 人間文化学部, 准教授 (00363961)
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Keywords | 学校 / 警察 / 連携 / 境界的ワーク |
Research Abstract |
本研究では、これまでA県警察少年サポートセンターと共同で、多職種協働のためのアセスメントシートの作成とそれが円滑に機能しているかいなかについての検討を行ってきた。具体的には、(1)補導職員へのインタビュー、およびアンケート調査、(2)生徒指導教員へのインタビュー、(3)具体的なケース運営についてのコンサルテーションを通して介入しつつ観察するという検討をおこなってきた。 このうち(1)、(2)について今年度はこれまでの発表内容を総括してInternational Society for Activity Research(ISCAR)で発表をおこなった。社会文化歴史的アプローチのなかで議論されている「境界的ワーク」や「関係のなかでむすばれる主体(relational agency)」の概念を用いてコラボレーションを記述すべく検討をおこなった。結果として、学校にとっての警察との連携は、問題生徒の排除というよりも、境界的ワークが継続的におこなわれることによって、より教育的関わりを充実できるというメリットがあることがわかった。発表では、ポーランドやロシア、イギリス、アメリカといった国々の研究者と交流をもち、それぞれの国における警察と教育機関とのコラボレーションについての情報交換を行なうことができた。また(3)として、これまでの結果をふまえた実践へのフィードバックとして、本年はいくつかのケースをとりあげて年に数回、継続的にコンサルテーションの会議をおこない、短期的な支援目標を策定するとともに、長期的な支援の方向性について話あいを行なった。その結果、学校や地域のリソースとの協働のあり方をみなおしたり、本人を多くの大人が見守る関係をつくったりすることの起点となることで、最終的には本人の行動改善や、関係の良好化につながった。今後は、これらの結果を総合することで、論文化していく予定である。
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Research Products
(6 results)