2009 Fiscal Year Annual Research Report
若年労働者のキャリア意識、職業性ストレスが離職に及ぼす影響に関する縦断的研究
Project/Area Number |
21730565
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Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
種市 康太郎 J. F. Oberlin University, 心理・教育学系, 准教授 (40339635)
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Keywords | 若年労働者 / 離職 / キャリア形成 / 職業性ストレス / 経済環境 |
Research Abstract |
平成22年度からの研究に向け、以下の2つの研究を実施した。 (1)若年労働者のキャリア意識形成、職業性ストレスと離職と関する文献研究若年労働者のキャリア意識形成、職業性ストレスと離職について、キャリア心理学、職業性ストレス研究の分野から文献収集を行った。文献研究の結果から、1)職業性ストレスは離職と関係があり、職業性ストレスの高さが離職意向、離職行動に結びつきやすい、2)しかし、離職は社会全体の動向とも関係があり、経済環境が悪化している場合には離職行動は起こりにくい、3)離職とキャリア発達と関係があり、離職を繰り返す場合には満足できるキャリア形成ができにくく、キャリアの漂流(キャリア・ドリフト)が生じる可能性があることが明らかとなった。1)~3)の結果より、4)離職意向は強くとも、離職行動を起こしていない場合には、職業性ストレスに加え、職場不満足が生じやすいことが示唆され、5)離職のプロセスとキャリア発達との関連に関する調査の必要性も示唆された。 (2)若年労働者のキャリア意識形成に関する予備調査 対象:就職先の内定を得た大学4年生10名 方法:就職先の内定を得た大学4年生10名を対象に、職業興味、職業や仕事に対する価値観、就職活動状況などについてインタビューによる調査を行った。就職活動の開始から内定取得までのプロセスについて、好景気時の内定者のデータと比較した。インタビューによる調査の結果から、不景気時の内定者は、好景気時の内定者に比べ、内定取得までの期間が長く、不採用とされた企業の数も多く、第一志望以外の企業から内定を得ていることが多く、いわば不本意内定の状態にあり、内定に対する満足感もやや低いことが明らかとなった。また、就職活動時における「目的意識」、すなわち、本人の職業観や仕事観が形成されているか否かが、就職活動全体や内定に対する満足度に寄与していることが示唆された。
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