2012 Fiscal Year Annual Research Report
遂行機能障害の認知リハビリテーションと近赤外分光法を用いた訓練効果測定の試み
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21730566
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
柴崎 光世 明星大学, 人文学部, 准教授 (00325135)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 脳損傷 / 遂行機能障害 / 認知リハビリテーション / 前頭葉 |
Research Abstract |
本研究は,前頭葉機能障害の改善をねらいとした認知リハビリテーション(CR)を実施し,その訓練効果を行動測度と近赤外分光法(NIRS)による脳血流測度の両側面から検討することを目的としたものである.平成24年度は,メタ認知(研究3)と認知的柔軟性(研究4)を標的としたCRの効果について検討をおこなった.まず,研究3では,自己認知や社会的認知を担うメタ認知機能のなかでも,社会的認知の基盤となる表情認知に着目し,その改善をめざした表情認知訓練を実施した.表情認知が困難な前頭葉損傷者を対象に10セッションからなる表情検出訓練をおこなったところ,訓練後には表情の検出が容易な刺激事態で患者の認知成績が向上し,また,NIRS測度においては,表情検出課題時の右前頭前野の賦活が訓練後に一貫して上昇する傾向が示された.次に,研究4では,音韻想起課題を使用して,21セッションの認知的柔軟性訓練を実施した.その結果,訓練後には患者の産出語数が訓練前よりも2倍以上に増加し,行動面での顕著な改善を認めたが,NIRS測度については,訓練後の音韻想起課題時の左前頭前野の賦活が訓練前より減少する傾向が示された.このような現象は,認知訓練による脳内の神経ネットワークの伝達の効率化を反映している可能性もある.最後に,本研究の研究期間で実施した4つの治療的介入における訓練効果の般化について検討したところ(研究5),発動性訓練(研究1)と抑制訓練(研究2)の後に,ウィスコンシンカード分類検査,トレイルメイキング検査,ストループ検査の各認知成績が上昇すること,また,表情認知訓練(研究3)の後に,心の理論課題の遂行が改善することが明らかになった.本研究の一連の結果は,慢性期の前頭葉損傷者においても直接刺激法によるCRが患者の前頭葉機能に促進的な影響を及ぼすことを示唆しており,臨床的意義が高いと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)