2009 Fiscal Year Annual Research Report
フィリピンセブ島スラム街における虐待予防プログラムの長期的効果研究
Project/Area Number |
21730569
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Research Institution | Yamanashi Eiwa College |
Principal Investigator |
太田 沙緒梨 Yamanashi Eiwa College, 人間文化学部, 助教 (90440544)
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Keywords | 心理教育 / プログラム評価 / 開発途上国 / 地域援助 / 虐待予防 |
Research Abstract |
本研究は、フィリピン共和国セブ市のスラム街において、子どもの不適切な養育の予防を目的に、3~6歳の就学前児童の養育者に対して実施されている、親教育プログラムの中長期的な効果とその効果を維持する要因について明らかにすることを目指すものである。本年度は、次年度から予定される子どもの虐待予防プログラムの縦断的調査を遂行するためのベースライン調査の実施を目的とした。ベースライン調査項目の策定のため、次の2つの事項を中心に行った。1.中長期的なプログラム評価にかかわる文献の収集と本研究で用いる評価デザインの検討、2.過去のプログラム参加者に対する構造化面接データの分析、である。2.過去のプログラム参加者に対する構造化面接は、過去にプログラムに参加した20名(各年度10名)のプログラム終了半年後ならびに1年半後の時点での、学習したスキルの維持の程度、困難な場面でのしつけの方略に焦点を当てて、分析した。その結果、学習されたスキルの維持度は、終了後半年目の群と1年半後の群に統計的に有意差は見られず、この時点では、タイムアウトを除いたすべてのスキルは、半数以上の家庭で定着していた。特に、望ましい子どもの行動に対する"ほめる""予告する"といったポジティブなスキルは、中でも使用頻度が高く、減らしたい子どもの行動に対する"無視する"というスキルは、特に使用頻度が低い結果となった。しつけ困難場面での養育者の対処方法は、20名中10名が"説得する"であった一方で、9名が"ムチ打つ""たたく"といった体罰を用いる方略に戻っていた。文献検討ならびに以上に述べた分析結果を踏まえて、ベースライン調査項目の策定、実施を行った。分析は次年度に行う予定である。
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Research Products
(3 results)