2010 Fiscal Year Annual Research Report
フィリピンセブ島スラム街における虐待予防プログラムの長期的効果研究
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21730569
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Research Institution | Yamanashi Eiwa College |
Principal Investigator |
太田 沙緒梨 山梨英和大学, 人間文化学部, 非常勤講師 (90440544)
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Keywords | 心理教育 / プログラム評価 / 開発途上国 / 地域援助 / 虐待予防 |
Research Abstract |
本研究は、フィリピン共和国セブ市のスラム街において、子どもの不適切な養育の予防を目的に、3~6歳の就学前児童の養育者に対して実施されている、親教育プログラムの中長期的な効果とその効果を維持する要因について明らかにすることを目指すものである。本年度は、昨年度実施された子どもの虐待予防プログラムのアウトカム測定の分析、ならびに縦断的調査を実施した。アウトカム測定の分析対象は、昨年度までの41名のプログラム受講者である。測定内容は、養育行動(7項目)ならびにメンタルヘルスの指標として抑うつ(SDSから10項目)である。 分析方法:SDSのカットオフ得点を参照し、事前のメンタルヘルス得点から3群に分けた(良好群、リスク中群、リスク高群)。二元配置反復測定多変量分散分析(測定時期、メンタルヘルス三群)を実施。結果:多変量検定おいて、測定時期とメンタルヘルス3群の交互作用、メンタルヘルス3群の主効果が有意であった。交互作用のため、それぞれの単純主効果検定を行った。メンタルヘルス得点の測定時期の単純主効では、3群ともに有意であり、養育行動得点においては、リスク中群で測定時期の単純主効果が見られた。多重比較の結果、リスク中群において実施前に比べて実施後が養育行動得点が有意に低かった。メンタルヘルス得点は、リスク中群、高群において、実施前に比べて実施後の得点が有意に減少していた。以上より、このプログラムは、不適切な養育に関連する二つのニーズ(抑うつ、体罰の使用)に貢献していることが明らかとなった。次年度は、プログラム直後の効果の維持の検討ならびに長期的な効果として、親やスタッフへのヒアリングを行う予定である。
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Research Products
(5 results)