2011 Fiscal Year Annual Research Report
フィリピンセブ島スラム街における虐待予防プログラムの長期的効果研究
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21730569
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Research Institution | Yamanashi Eiwa College |
Principal Investigator |
太田 沙緒梨 山梨英和大学, 人間文化学部, 非常勤講師 (90440544)
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Keywords | 心理教育 / プログラム評価 / 地域援助 / 虐待予防 |
Research Abstract |
本年度の目的:2005-2007年に、不適切な養育の予防を目的に、3-6歳の子どもの親に対して実施された養育スキルを学ぶ心理教育プログラムの直接的効果の維持及びインパクトの検討。方法:1)プログラム終了後3-5年目の16名の親に対して質問紙調査を実施。その内容は、学んだスキルの使用頻度ならびに現在の子どもの困った行動と対応、タイムアウトの使用方法であった。2)親教育プログラム運営スタッフ3名への半構造化面接。質問内容は、家族の特徴からみた地域へのインパクトが中心であった。結果と考察:1)直接的効果の維持:最も維持されていたスキルは、"誉める"であり、"予告する""取引する"と続いた。他のスキルも6割以上の親が週に2.3回以上の頻度で用いていた。特に、きょうだいの多さと住スペースのなさから参加者自身がプログラム直後に実践困難と評価した"タイムアウト"は、3年前よりも使用頻度が高く、自らの住環境と家族状況に応用していた。一方で、子どもが困った行動を取ったときの親の考えを尋ねる項目では、自身がとるべき行動と子どもの行動の善悪の判断のみで、子どもの気持ちや意図等内面への言及はなく、行動面への介入の限界と考えられた。2)インパクトの検討:プログラムの直接対象である子どもだけでなく、そのきょうだいにもスキルは実践されていた。また、参加者を通して近隣養育者へも子育ての知識やスキルが広がっているというエピソードが語られた。介入対象となった親の数は少ないが、その利益を受ける子どもの数は数倍以上になることが推測され、地域サポート力が強く、子ども数の多い現地では、親に対する心理教育的アプローチは、特に有効であろう。心理教育的アプローチの有効性が確認され、適切な養育スキルが地域に広がってきた。次は、子どもの内面を内省するスキルを育てること並びに効果に大きな影響を与える運営者の意思決定過程に実践研究者がどのように関わってきたのか検討することが課題とされた。
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Research Products
(2 results)