2011 Fiscal Year Annual Research Report
「投影ドラマ法」の可能性-既存の表現療法との比較、グループでの実践も踏まえて
Project/Area Number |
21730571
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
岡本 直子 立命館大学, 文学部, 准教授 (50389615)
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Keywords | 投影ドラマ法 / 表現 / 箱庭療法 / 粘土造作 / グループ / 振り返り / 関係性 / ドラマセラピー |
Research Abstract |
「投影ドラマ法」は、ミニチュアの舞台と人形を用いて1人の「表現者」(「表現する主体」の意味でこう記す)が即興劇を表現し、後で見守り手とともにそれを振り返るという手続きから成る、報告者が考案した技法である。本研究では「投影ドラマ法」の臨床場面適用への知見を得るために、以下の3点の明確化を目的とする。1)「投影ドラマ法」の特異性を知るため、「投影ドラマ法」がもたらす心的体験の特徴を既存の表現療法技法との比較も踏まえ明らかにする。2)「投影ドラマ法」適用に有効な対象を知るため、「投影ドラマ法」の表現の仕方(表現スタイル)に着目し、それとパーソナリティ傾向の関連性を既存の表現療法技法との比較も踏まえ明らかにする。3)表現療法は、個別に行うもの(「投影ドラマ法」を含む)と集団で行うものに大別できる。グループダイナミックスが入り込む集団と個ではもたらされるものも当然異なると考えられるため、表現療法における個と集団の意味についても明らかにする。 本年度は、既存の表現療法技法として箱庭療法(砂が入った箱にミニチュアの玩具を置き風景や場面を作る技法)、粘土造作(粘土を用いて作品を作る技法)、ドラマセラピー(演劇を応用したゲームや課題を行う技法)に焦点を当て、大学生・大学院生を対象に調杳を実施した。調査では、各技法終了後に、技法を通して得られた心的体験を調べる「心的体験尺度(岡本,1999)」への回答と自由記述、そして「表現者」のパーソナリティ傾向を調べる「Big Five尺度(和田,1996)」を求めた。 「箱庭療法に関しては、個別の箱庭制作に関する調査と、6、7名からなる集団での箱庭制作に関する調査を実施し、個別では65名分、グループでは40名分のデータを収集した。粘土造作に関しては4,5名からなる集団での粘土造作に関する調査を実施し、35名分のデータを収集した。ドラマセラピーに関しては、7~23名からなる集団で調査を実施し、66名分のデータを収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データの収集はおよび分析は予定通りに進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、得られた結果を分析し、国内外の学会で発表していくことに力を注いでいきたい。
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