2009 Fiscal Year Annual Research Report
不登校・ひきこもりの青年に対する実証的アセスメントおよび介入研究
Project/Area Number |
21730574
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
大対 香奈子 Kwansei Gakuin University, 文学部, 助手 (80509927)
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Keywords | 学校適応 / 不登校 / 青年 / 友人関係 |
Research Abstract |
平成21年度は大阪府の施設に入所している不登校・ひきこもりの青年19名に対してソーシャルスキルトレーニングを1年間通して全14セッション実施し、その効果検証を行った。効果の検証は自己評定、施設職員の評定から行った。また、トレーニングを研究者ではなく施設職員が実施した場合も、同様の効果が見られるかという点についても検討を行った。トレーニングの内容については、平成19~20年度に受託研究で開発したプログラムを踏襲して実施したため、今後はさらにトレーニングの内容や実施方法の妥当性を高めるよう、高校生年齢の青年が必要とする社会的コンピテンスについてのアセスメントを行う必要があると思われた。その予備的研究として小規模ではあるが、一般高校生と不登校・ひきこもりの青年の友人関係にどのような違いが見られるかを検討する調査を実施した。調査では、一般高校生と不登校・ひきこもりの履歴を持つ青年とでは、ソーシャルスキル、友人関係の志向性、友人と行う活動、対人葛藤場面の問題解決に違いが見られるのかを検討した。この調査から明らかになった結果は、一般高校生の中でも「学校に行きたくない」という程度が高い生徒と不登校・ひきこもりの履歴がある青年には共通して、トラブルを回避したり、表面的な付き合いは切り捨てたりするという傾向が見られ、決まった友人と深く親密な関係を築いていくという志向性が低いことが明らかになった。一方で、「学校が好き」という程度が高い生徒は、決まった友人と排他的に親密に付き合うこともわかった。このような結果をうけ、高校生特有の友人関係のあり方に適切なスキルを明らかにしていくことで、今後のソーシャルスキルトレーニングの標的スキルの選定や介入方法をさらに改訂し、平成22年度以降はより妥当性の高い介入プログラムを考案していく。平成21年度に行った研究の成果は日本心理学会、日本教育心理学会、アメリカ行動分析学会にて発表する予定である。
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