2011 Fiscal Year Annual Research Report
アタッチメント理論に基づく乳幼児-養育者関係支援プログラム開発のための基礎的研究
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21730575
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
北川 恵 甲南大学, 文学部, 准教授 (90309360)
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Keywords | 心理学的介入 / アタッチメント / 親子関係 / circle of security |
Research Abstract |
平成23年度は、日本でのプログラム実施3クール目を迎え、過去2年間の経験に基づいて効果的に参加者の募集をすることができた。5組の親子でCOSプログラム(日本語名称「親子がホッとつながるグループ」)を実施し、5組全員がプログラムを完了することができた。平成23年度も引き続きCOSプログラム開発者であるBert Powell氏による助言を受けながら、7月に介入前アセスメントを行い、8月から12月まで毎週の頻度で合計18セッションを行い、12月に介入後アセスメントを行った。1~3月に結果の分析を行い、平成24年度の学会で発表する準備を行った。 また、平成22年度の参加親子2組については、COSプログラムを終了した半年後にあたる平成23年6月にストレンジ・シチュエーション法を行って、介入効果の持続性の検証を行った。介入前、不安な場面で母親との関係を利用できずに不健全なアタッチメントを示していた子どもは、介入後、母親にしがみついて泣くという率直なアタッチメント欲求表出を出来るようになっていた。半年後には、率直にアタッチメント欲求を表出し、かつ、容易に落ち着きを取り戻せるようになっていたことから、母親の応答性を一貫して信頼できるような関係性の肯定的変化が定着していることが伺えた。この半年後の結果も踏まえながら、COSプログラムの特徴や効果について国内外の学会で複数の発表を行った。 COSプログラムの効果的な内容を日本の親子関係支援の実践に応用するために、執筆と講演を積極的に行った。また、既成のDVDを用いたCOSペアレンティング・プログラムの研修を4月に受け、このDVDの日本語版作成の準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COSプログラム実施に関する訓練課程は、開発者によるスーパービジョンを受けながら3グループ実施することができ、順調である。日本の親子関係支援現場に提供しうる実践方法の開発については、2通りのアプローチが有効であるという見通しをもてた。1つは、COSペアレンティング・プログラムのDVD日本語版を作成することである。もう1つは、COSプログラムの効果的なエッセンスを日本の実践現場で応用するための提言を行うことである。
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Strategy for Future Research Activity |
介入前後のアセスメントデータの比較による効果検証については、少人数でグループを行うプログラムの性質上サンプル数が少なく、統計的な検証は難しい。その問題を補うためにいくつかの工夫をしている。子どものアタッチメントに直接焦点づける介入であるため、ストレンジ・シチュエーション法による測定がもっとも重要であり、介入前後に加えて介入後から半年の時点でもストレンジ・シチュエーションを行っている。子どもが健全なアタッチメントを育めるために必要な養育者の特徴とされている内省能力についても、質問紙だけでなく、投影法や、インタビューでの語りから多面的な測定することを試みている。
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Research Products
(6 results)