2011 Fiscal Year Annual Research Report
主観的ウェルビーイングの向上による心理生物学的ストレス反応低減に関する実証研究
Project/Area Number |
21730577
|
Research Institution | Tokyo University of Social Welfare、Junior College |
Principal Investigator |
田中 芳幸 東京福祉大学短期大学部, こども学科, 講師 (50455010)
|
Keywords | 主観的ウェルビーイング / 自己受容感 / ストレス・コーピング / 身体活動量 / 強み / 対人的相互作用 / 生活習慣 / 効果量 |
Research Abstract |
結果と考察計6種類の介入方略を検討し,SWBには「身体活動習慣の改善」に次いで「対人的相互作用の増加」「身体活動のセルフモニタリング」「良いこと/強みの発見」が同程度の効果量を示した。SWB構成要素ごとでは,ネガティブ気分以外で「身体活動習慣の改善」が最も効果的という結果であった。この方略では客観的な活動量を測定するために他方略に比べて対象者数が少なく,分散分析では有意差を確認できなかった。効果量による検討の必要性を示唆する結果であると考える。満足感では,次いで「対人的相互作用の増加」「良いこと/強みの発見」の効果量が続いた。「コーピングと自己受容感の改善」は対象者が多く分散分析では有意差を確認したが,効果量はほとんど認めなかった。これも効果量による検討の必要姓を示唆する結果である。チャレンジ精神では「対人的相互作用の増加」と「睡眠/食習慣の改善」が順に,気分転換では「身体活動のセルフモニタリング」が続いた。 ネガティブ気分では「睡眠/食習慣の改善」「身体活動量のセルフモニタリング」「良いこと/強みの発見」が順に高い効果量を示した。上位2ワークについては大学生における生活習慣の不規則さと生活満足度の低さ等の先行報告(磯部・重松,2007 et al)に一致する。「良いこと/強みの発見」での満足感とネガティブ気分という感情面での効果は,海外で作成された本方略(Seligman et al.,2005)が本邦大学生にも有用であることを示唆する。 成果の意義SWB向上に資する複数の方略について効果量の比較を行い,従来の研究で汎用される分散分析での検討では見過ごしていた真に効果的な介入方略を見出した意義は大きい。SWB構成側面ごとに効果的な介入方略を探索したことにより,初年度の横断研究で検証したストレスとの関連が強い側面に有効な方略を選択して用いることを可能にした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初目的にあげた「コーピングや自己受容感の向上」と「運動習慣の改善」という2種類の主観的ウェルビーイング向上方略を検討するにとどまらず、海外でポジティブ感情増進に役立つことが検証されている「自分自身の強みを特定して新たな方法で使う練習や1日の良かったことの振り返り」を含んだ向上方略の検討まで行えた。このことから研究計画段階と比べても4種類としていた介入方略の検討を5種類実施できた。このためこの自己評価とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画の最終年度にあたる平成24年度は当初の計画通り、主観的ウェルビーイングの向上が心理生物学的ストレス反応の低減や反応からの回復に有効であるかを検証する。介入前後に、実験室場面にてメンタルストレステストを負荷し、心理生物学的ストレス反応の継時的な誘起と低減に対して、主観的ウェルビーイングの向上がどの様に関わるのかを明らかにする。平成21年度から23年度の研究で明らかとしたストレスとの関連性が強い主観的ウェルビーイングの側面(チャレンジ精神や気分転換)に役立つと考えられる介入方略を中心に取り上げる。
|
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Book] ストレス科学辞典2011
Author(s)
下光輝一, 大島正光, 内山明彦, 中尾睦宏, 田中芳幸, 他468名
Total Pages
1148
Publisher
実務教育出版