2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730579
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Research Institution | Shiraume Gakuen University |
Principal Investigator |
稲本 絵里 Shiraume Gakuen University, 子ども学部, 助教 (60406808)
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Keywords | 犯罪被害 / 暗数 / 社会的偏見 / 心理教育 |
Research Abstract |
本研究は、平成19・20年度の科学研究費補助金若手研究B(19730438)の助成を受けて実施した『犯罪被害の暗数化の要因に関する研究』をもとに、さらに「社会的偏見」に焦点を絞って議論を発展させるものである。これまでの文献研究および調査研究では、多くの犯罪被害者が警察に届け出ない、すなわち暗数化してしまう要因として、被害者の心理的負担、警察への不信、情報不足、社会的偏見などが示された。なかでも、犯罪被害者に対する社会的偏見には、特に性暴力被害者への「強姦神話」と呼ばれる誤った社会通念の根強い影響も示唆されたが、これまで日本では具体的に検討された報告がない。そこで、本研究では、第一に警察への届出を阻む要因の一つとなっている犯罪被害者に対する社会的偏見の実態について把握すること、第二に誤った情報やイメージによって被害を受けても自分が被害者だという認識に至らないことが多い現状に対する心理教育の方法を検討することを目的におこなった。 研究Iとして、日本で被害者支援に携わっている支援者(第一弾として犯罪被害者支援弁護士)を対象に、被害者に対する社会的偏見についての意識調査を実施した。質問紙には、人口学的質問項目、海外の強姦神話尺度(Gerger,et al.(2007)によるAMMSA)、および日本における文献研究から抽出した犯罪被害に関する社会的偏見項目等を使用した。 研究IIとして、大学生を対象に、性格特性(TEG-II)、精神健康度(GHQ12)、犯罪被害に関する社会的偏見項目、具体的な被害場面における行動選択等について、自記式質問紙を用いて授業で自己チェックすると同時に、被害に遭った場合の適切な判断および援助要請行動について心理教育を試行した。 次年度も、対象者を増やしてそれぞれの研究を実施し、併せて検討する。
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