2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730579
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Research Institution | Shiraume Gakuen University |
Principal Investigator |
稲本 絵里 白梅学園大学, 子ども学部, 助教 (60406808)
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Keywords | 犯罪被害 / 暗数 / 社会的偏見 / 心理教育 |
Research Abstract |
本研究は、犯罪被害者の多くが警察等捜査機関に届け出ず、暗数(統計上には表れない数)となり、必要な支援が受けられない現状をふまえ、暗数化の要因の一つとして指摘されている「被害者に対する社会的偏見」について実態を調査する目的で実施した。 研究Iは、わが国で犯罪被害者支援に携わっている支援者を対象に、調査を実施した。各都道府県の弁護士会犯罪被害者支援委員会、民間支援団体、女性センター、婦人相談所にマークシート式の自記式質問紙を郵送し、同意の得られた個人から郵送で回収した。返信は787名(男性194名、女性567名、不明26名)。弁護士185名、医師0名、看護師7名、精神保健福祉士3名、臨床心理士13名、民間支援団体相談員188名、女性センター相談員141名、婦人相談所相談員107名、その他98名、不明45名であった。支援者の現場経験を通して、支援を求めることのできた被害者はどのような考えをもっているのかについて、犯罪被害に関する社会的偏見項目等(Gerger, et al.,2007,稲本,2008,稲本・クスマノ,2009)を用いて調査した。 研究IIでは、一般の人を対象にインターネット調査を行った。居住地域(北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州)×年齢(20代、30代、40代、50代、60代以上)×性別(男性、女性)の計800名を対象とした。自分が犯罪被害に遭った場合に警察に届け出るかどうか、届け出ない場合の理由、犯罪被害に対する社会的偏見に関する項目等(研究Iと同じ質問項目)について調査した。 研究IとIIの結果にもとづき、「犯罪被害者に対する社会的偏見が暗数化に及ぼす影響」について総合的に検討し、暗数化の壁を越え、被害者に必要な支援が行き届くようになるための方策を提案したい。
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